「四国八十八箇所霊場と遍路道」の世界遺産登録を目指す香川・高知・徳島・愛媛の四国4県が9月1日、世界遺産「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」があるスペイン北西部のガリシア自治州と協力協定を結ぶ。世界遺産を数多く持つ「先輩」であるガリシア自治州から助言をもらい、交流を深めていくのが狙い。各県の浜田恵造知事(香川)、岩城孝章副知事(高知)、熊谷幸三副知事(徳島)、加藤龍彦参与(愛媛)がガリシア自治州を訪問し、アルベルト・ヌュネス・フェイホー首相らとの記念行事に参加する。
サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路は、ガリシア自治州の州都サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路で、主にフランス各地からピレネー山脈を経由しスペイン北部を通る道を指す。サンティアゴ・デ・コンポステーラには、聖ヤコブ(スペイン語でサンティアゴ)の遺骸があるという言い伝えがあり、ローマ、エルサレムと並んでカトリックの三大巡礼地に数えられている。ガリシア自治州では、この巡礼路の他にも、「サンティアゴ・デ・コンポステーラ旧市街」「ルーゴのローマ城壁」「ア・コルーニャのヘラクレスの塔」も世界遺産に登録されている。
一方、「四国八十八箇所霊場」は、香川県善通寺市で生まれ、弘法大師として知られる空海(774~835)が修行を行った地として伝えられる寺々のことで、この霊場を歩いて巡る道が「遍路道」。一般に呼ばれる「四国遍路」とは、遍路道を通って空海の足跡を訪ね、88カ所の霊場を巡礼することをいう。
高知県は、この四国遍路を、サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路同様に長い歴史の中で受け継がれてきた世界に誇る財産として世界にアピールしていくことも、今回の協定の狙いの一つとしている。
愛媛県の中村時広知事は、サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路では、世界遺産登録後に観光客が大幅に増加し、最近では自転車で巡礼する人も多くなっていることに注目し、同県が力を入れるサイクリング観光と四国遍路を組み合わせることなども検討している。
四国八十八箇所霊場と遍路道の世界遺産登録に向け、四国4県および関係市町村では、2010年に世界遺産登録推進協議会を設立し、登録に向けた取り組みを行っている。今年6月には、観光庁が実施する外国人旅行者向けの広域観光周遊ルート形成計画に選ばれたことで、世界遺産登録に向けて弾みがつき、登録への期待が高まっている。