16日の閣議で、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」(日本推薦枠)及び国立西洋美術館(「ル・コルビュジエの建築作品」(フランス推薦枠)の構成資産の一つ)について、30日までに正式版の推薦書を国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産センターへ提出することが了解されと、文化庁が発表した。
「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の2016年世界遺産登録に向けて、大きく前進したことになる。今後は、今年の夏から秋ごろ、国際記念物遺跡会議(イコモス)による現地調査が行われ、2016年4月から5月ごろ、イコモスによる評価結果の勧告、同年6月ごろ、第40回世界遺産委員会で審議が行われる予定だ。
世界文化遺産登録への支援要請などのため、中村法道長崎県知事らの長崎県訪問団が8日間の日程で欧州を歴訪していたが、22日、ローマ近郊の空港からドイツを経由して羽田空港へ到着、帰国した。訪問団は、中村知事を団長に教会群の構成資産がある県内5市2町の市長、町長ら20人で、バチカン、パリのユネスコ本部、オランダなどを訪問した。
長崎新聞によると、中村知事は21日にバチカンで行われたローマ教皇フランシスコの一般謁見(えっけん)に参列し、教皇と直接対面したという。一般謁見が行われたのはサンピエトロ大聖堂近くの謁見ホールで、世界中から大勢のカトリック信者が集まった。
ステージ前に着席を許された知事は入場してきた教皇と握手し、「今年は信徒発見150年と被爆70年です。ぜひ長崎へお越しください」と語り掛けた。知事によると、教皇は「ありがとう」と答えたという。「教皇の手は温かかった。教皇のご来県を願う熱意は伝わったと思う」と話した。
読売新聞によると、教皇庁国務省のピエトロ・パロリン長官は、教皇の国外訪問スケジュールが発表済みのため今年の来県は難しいとの見通しを示した上で、「まだ全てを決めているわけではない。皆さんの強い思いは教皇にお伝えする」と話したという。また、同庁文化評議会のジャンフランコ・ラバーシ議長は教会群の世界文化遺産登録を後押しするため、ユネスコに推薦状を送付する考えを表明したという。
中村知事は、16日の閣議了解を受けて、「今後は、関係県市町等とさらなる連携を図り、構成資産の万全の保護措置はもとより、国際記念物遺跡会議(イコモス)による審査等に適切に対応するとともに、一層の気運醸成や、受入体制の整備など、平成28年の登録に向けて全力を傾注してまいります」とするコメントを発表している。