痴漢容疑の男の取り調べで、犯行を認めれば処分を軽減するなどと持ち掛けていたとして、東京地方検察庁(東京地検)の20代女性検事が依頼退職をしていたことが分かった。女性検事は他の数人の容疑者に対しても、日本ではまだ認められていない司法取引と受け取られかねない不適切な取り調べをしていたという。共同通信などが伝えた。
同通信によると、この検事は、痴漢による東京都迷惑防止条例違反容疑で逮捕・送検されていた男の取り調べで、犯行を認めれば、公判を伴う通常の裁判ではなく、略式起訴にとどめるなどと持ち掛けていたという。また、麻薬取締法違反容疑で勾留中の暴力団組員ら他の2人に対しても、司法取引と受け取られかねない不適切な取り調べをしていたという。
司法取引とは、被告側が罪状を認めたり、共犯者を告発したり、捜査に協力したりすることで、検察側が求刑の減刑や罪状取り下げなどを行うもので、日本の法律ではこれまでのところ認められていない。ただし米国などの国では認められており、日本でも昨年9月、法制審議会が司法取引制度の新設を含む刑事司法制度の改革案を正式に決定し、導入が検討されている。
TBSによると、弁護士からの苦情で発覚し、検察内部でも不適切な利益誘導と受け取られかねないとして問題になったという。検事は既に依頼退職している。