ジャスティン・ウェルビー・カンタベリー大主教は25日、シリアでの武力行使を支持する発言をした。
ウェルビー大主教は、テロの危機の中にあって、介入の現実的な方法は「何らかの軍事的な応答を含むものでなければなりません」と述べた。また、「そうでなければ、実効的なものとなることはほとんど不可能です」とした。
ウェストミンスターで行われた総会での、移民危機についての討論で語った。
他の国々と共同し、安全な避難経路の設置を支援するよう働き掛ける政府の動議を支持することによって、英国国教会は、海外での軍事力行使を本質的に支援していると述べた。
「これらの地域で安全な場所への安全な経路を築くために働くことを現実的に捉えると、それには何らかの軍事的な応答が含まれなければなりません」とウェルビー大主教。
空爆をシリア領内に広げることを政府が提案しようとしていることを引き合いに出し、アンジェロス主教とその地域にいる人々の次の言葉に耳を傾けるよう呼び掛けた。「理想的な状況は、脱出するための誘導路を作ることだけでなく、繁栄と安全のうちにとどまることのできる方法をも作り出すことです」
ウェルビー大主教は、この言葉の持つ意味について「まったくもって膨大なもの」と話し、「もし、私たちが本当に首相が言うところの『存在の危機』に直面しているならば必要になる、あらゆる行動をまとめる」ために、いまだかつてない首尾一貫した応答が必要だと語った。
一方、この動議を支持する上で、ある重要な含みがあるとも述べた。
「教会が発言した通りに、その財産を支出しなければならないだけでなく、私たちも、入国する人を歓迎し、私的に支援することに深く貢献しなければなりません。それだけでなく、中東のレバントやナイジェリア北東部、ブルンジなどの世界中の多くの地域で人々を難民化させている勢力と、対決する必要があるかもしれないことを認識しなければなりません」
パリのテロ事件についてウェルビー大主教は、次のように語った。
「フランス警察があの恐ろしい夜にバタクラン劇場に入り、劇場を制圧した者に対処しなければならなかったのと同様に、世界のある地域においては、劇場ではなく地域全体を制圧し、最も恐ろしく破壊的な大混乱を巻き起こす者たちと対峙する必要性に直面しなければなりません。本当に、この動議を支援しようではありませんか。しかし、その意味については全く現実的に捉え、行いましょう」
ダラム主教のポール・バトラー氏はウェルビー大主教の言葉に加え、この動議が軍事行動を支持するのは、難民のために「合法で安全なルートを設置することに関連する場合にのみ」だとした。
総会で支持された当初の動議についてバトラー主教は、中東地域でのキリスト教徒の窮状と、政策が「キリスト教徒も含めたすべての人のために公正である」ことの必要性を強調した。
バトラー主教は、全てのキリスト教徒を中東から脱出させることは答えにならないとするウェルビー大主教の意見に同意する一方、中東の一部では、安全ではない状況に置かれているキリスト教徒がいることを認めた。
「私たちは、中東のどの地域からであっても、キリスト教徒の脱出に拍車をかけようとしているわけではありません。私たちは、教会が何世紀にもわたってその証しを保ち、地域固有のアイデンティティーを形成してきた地域だけではなく、すべての地域においてイエス・キリストの御名が掲げられることを祈っています。そして、まだ中東地域のあらゆる所において、どこに行っても安全を確保できず、繁栄することもできないキリスト教徒たちがいます。世界中のキリスト教徒の間には、相互に責任と愛の絆があります」
バトラー主教は、クリスチャンの愛とは、「皮膚の色や他のあらゆる性質、人格の違いと同様、宗教的信条の違いにも目をつぶる」ことだと強調しつつ、「仲間のクリスチャンたちが公正な扱いを受ける権利を支持することは正しい」と述べた。
「難民キャンプにいようといなかろうと、見つけやすかろうと見つけにくかろうと、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)によって非常に大きな再定住の必要性を持つ人々が捜し出されたとき、彼らが差別に苦しむことがあってはならないのです。宗教的な動機により苦しみが増し加わっている人々の必要を考える上で、その点が十二分に考慮されるのは当然のことです」