ロシア軍によるシリアでの空爆への応答として、過激派組織「イスラム国」(IS)は、ロシアを「間もなく」攻撃し、特に「彼ら(ロシア人)の妻を妾とし、子どもたちを奴隷とする」と脅す戦慄の動画を投稿した。
この動画は、ISの分派「シナイ州」が10月31日、コガリムアビア航空サンクトペテルブルク行きの旅客機を爆破したと主張した、約2週間後に投稿された。墜落によって乗員乗客合わせて224人が死亡し、そのほとんどは帰国途中のロシア人だった。
デイリー・メール紙のウェブサイトによると、約5分間の動画は、囚人を斬首したり、至近距離から銃撃したりして殺害する凄惨な映像と、男性の声による不気味な詠唱をBGMに、ロシア軍の様子が映されているという。
ISの警告の内容は、「ウンマ(イスラム共同体)の獅子が目覚めた。彼らは剣を掲げた。おぉ、穢れた異教徒よ、あなたは全く勇敢でない。あなたの声は沈黙させられている。われわれはほしいままにあなたの地を奪う。間もなく、すぐに、血が海のようにあふれる。・・・われわれはあなたの妻を妾とし、子どもたちを奴隷とする」というものだ。
この警告は、イスラム教の詠唱として知られるナシードの形で読み上げられた。この歌詞もまた、ISのプロパガンダのページに投稿されている。
また他の歌詞は、「われわれは殺りくをもってあなたのところに行き、死をものともしない。あなたの銃弾の中に、われわれはパラダイスを見る。ヨーロッパは震え、ロシアは死のうとしている。クレムリンはわれわれのものとなる」とある。
ドミートリー・ペスコフ大統領報道官は、治安当局がその動画の内容を精査すると語った。
「この動画とその出どころの確実性は分かりません。しかしどのようなものであっても、特殊機関による検討対象となることに疑問の余地はありません」とペスコフ報道官。
ISはまた、ロシアの旅客機を爆破したという主張について、時が来たらそれを証明するという内容の、音声での声明をインターネットに投稿した。「われわれが墜落させたのでないこと、またどのように墜落したかを証明せよ。われわれはわれわれのタイミングで、どのように墜落させたかを明かす」
欧米諸国の情報機関では、ISがロシアの旅客機に爆弾を設置したと推測している。またこの計画の背後にはアブ・ウサマ・アル・マスリ容疑者(42)の存在があり、彼が計画を主導したとみている。
以前ISは、9月下旬に始まったシリアの拠点への空爆に対する報復として、ロシアと米国を攻撃するよう呼び掛けていた。
この新しい動画は、ISの映像部門「アル・ハヤトメディア・センター」がこれまで投稿してきた動画、中でも2月に投稿されたヨルダン人パイロットを焼殺する残虐な映像と同様、巧みに編集された痕跡がある。