国連の専門機関である世界気象機関(WMO、本部:スイス・ジュネーブ)は16日、異常気象をもたらすエルニーニョ現象に関する最新の情報として、エルニーニョ現象が今年末に最大規模になると予想されると発表した。エルニーニョ現象は、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米ペルーの沿岸にかけての海域の海面水温が、1年程度継続して平年に比べて高くなる現象。発生すると、日本を含め世界中で異常な天候が起こると考えられている。
WMOの発表によると、熱帯地域の太平洋東中央海洋の今後3カ月間の海面水温の平均がピークとなり、通常よりも2度高くなると予想されており、1950年以降発生した過去3回の大規模エルニーニョ現象の規模に匹敵するという。1950年以降では、1972〜73年、82〜83年、97〜98年に大規模なエルニーニョ現象が発生している。
WMOのミシェル・ジャロ事務局長は、「熱帯地域や亜熱帯地域で起こった深刻な干ばつや壊滅的な洪水は、今回のエルニーニョ現象に典型的に見られる特徴だ。ここ15年で最も強いエルニーニョ現象だ」と語った。
一方、気象庁はエルニーニョ監視速報(11月10日付)で、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は、10月はプラス2・7度で、10月としては1950年以降2番目に大きい値だったとし、「エルニーニョ現象が続いている」と伝えている。
このエルニーニョ現象による10月の影響について、気象庁は、日本では明瞭な影響は見られなかったとする一方、世界においては、南米北西部とインドの高温、南米南部の低温、インドネシアとオーストラリアから南太平洋西部にかけての少雨が、エルニーニョ現象時の特徴と一致していたと報告している。
■ 世界気象機関(WMO)のエルニーニョ現象(2015〜16年)について説明する動画