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聖ニコラスの生涯

サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(11)コンスタンティヌスとの出会い

2025年1月22日13時50分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(1)孤児ニコラス+
聖ニコラスの肖像画(画:ヤロスラフ・チェルマーク)

入学してから3カ月ほどたったある日のことである。ニコラスは図書館で一人の若者と出会った。背が高く、がっしりとした体格をしているが、まだ少年の面差しをした男で、コンスタンティヌスと名乗った。

「ここは世界中の英知が集まった場所だと聞いていたけれど、本当にすごいですね」。彼はそう語りかけてきた。それが会話の始まりだった。

この若者は、ローマの軍人の息子で、父親のコンスタンティウス・クロルスは西ローマ皇帝マクシミリアヌスが率いる軍団の将校だった。その息子コンスタンティヌスは、北から絶えず侵入してくるゲルマン民族をはじめとする他民族を制覇するために遠征する父を助けて、早くから軍事訓練を受けていた。

しかし二十歳になった今、優れた軍人になるためには、武芸を修得し、戦術を学ぶだけでは不足だと気が付き、勉強のためにこのアレクサンドリアに来たのだった。ニコラスは18歳になったばかりだが、2歳年上のこの若者に引きつけられた。

「あなたの出身は?」「小アジアの港町パタラです」。ニコラスの言葉に、コンスタンティヌスの顔に微笑が浮かんだ。「すぐ隣のミラの町に小さい頃行ったことがあります。父のお供をしてビザンチウムに行った際、下船して海岸で遊ばせてもらいました。軍人の子どもは、地理に慣れるために船であちこちつれ回されるんですよ」

二人はなぜかすっかり意気投合して、気持ちが通い合うのを覚えた。彼らは、図書館の中庭に腰をかけ、政治や宗教、また文化について語り合った。

「私は最近両親を亡くし――といっても養父母ですが、二人から本当の子どものように愛してもらいました。それで彼らに倣って自分も貧しい者や生活困窮者のために施しをするようになったのです。すなわち、彼らを屋敷に招いて飲み食いさせ、金や衣服を与えてその生活をわずかなりとも助けてあげたのですが、ある時、私は、いくらお金や物をあげても、絶望しきっている人の魂を救うことはできないことを知りました」

「そうして悩んでいたときに、アポロという伝道者がこの町にやって来ました。私は彼からキリスト教の神様のことを教えられ、人となったその神様のことをもっとよく知りたいと思って大学に入り、勉強を始めたところです」。ニコラスは、この友人に今までのことを語った。

「なるほど、興味深い話ですね。でも、自分はキリスト教などには興味がない。私の夢は『ローマの再建』です。各地から攻め込んでくる多くの民族によって帝国は脅かされ、国内では権力者が互いにせめぎ合いをしていて、国が東西に分裂してしまった。私は将来力を付けて――そう、文武両方の、誰にもひけをとらない知識を身に付けて、権力の座に登る機会を待つつもりです。そして、各地から攻め込んでくる多くの民族からローマを完全に守り、世界に通用する国際都市をつくりたいのです」

コンスタンティヌスの頬は情熱のために紅潮し、目はキラキラと輝いていた。二人は目指す道も、理想も異なっていたが、その心に燃える熱い思いは同じであることを認め合い、励まし合ったのだった。

コンスタンティヌスの滞在期間である3カ月はあっという間に過ぎ、やがて彼がローマに帰る日がやって来た。ニコラスは、大切なこの友人を船着場まで送っていった。

「ここでわれわれが出会ったのは、何か偶然でないような気がします」。ニコラスは彼の肩に手をかけて言った。「また会えたらうれしいですが、そうでなくても、このアレクサンドリアの図書館で語り合ったこと、そして、われわれが友情を交わし合ったことについて忘れないでくださいね」

「自分は軍人だから、明日の命の保証はありません。いつ死ぬか、どこで死ぬか全くわれわれには予測できないのです。それでも、私は信じる。私たちはきっとまた会えます」

コンスタンティヌスはきっぱりと言うと、この友人を抱擁した。それから、自分の首にかけていた金の鎖を外すと、ニコラスの首にかけた。「これは自分の家庭教師だったギリシャ人哲学者の形見です。いつか本当に心を分け合える親友に巡り合ったらあげようと思っていました」

二人はもう一度固く抱擁し合い、そして別れたのだった。

*

<あとがき>

伝道者になるためにアレクサンドリアの「キリスト教大学」に入学したニコラスは、図書館で一人の若者と出会いました。コンスタンティヌスと名乗る彼は、西ローマ皇帝マクシミリアヌスの軍団の将校の息子でした。

二人はなぜか互いに引かれ合い、いろいろ語り合ううちに親しくなりました。ニコラスは彼に、自分は伝道者になるためにこの町の神学校に入学したのであり、希望を失っている人々にイエス・キリストの福音を伝えたいのだと語りました。

するとコンスタンティヌスは、自分はキリスト教などには少しも興味はないが、心に抱き続けてきた夢は、東西に分裂しているローマを一つに統一し、世界一の強国にすることだと熱っぽく語るのでした。

二人は、それぞれ目的は違うが、相手の理想を尊重し合い、友情を誓い合って別れました。後になって二人の人生が交差したとき、ニコラスの人生の中でコンスタンティヌスは驚くべき役割を果たすことになるのです。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)刊行。また、猫のファンタジーを書き始め、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。20年『ジーザス ラブズ ミー 日本を愛したJ・ヘボンの生涯』(一粒社)刊行。現在もキリスト教書、伝記、ファンタジーの分野で執筆を続けている。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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