報道によると、民主化運動で有名な、中国でもトップレベルの識者がキリスト教に改宗したという。
作家、エッセイスト、ブロガーの冉雲飛(Ran Yunfei)氏は、中国で「公共的知識人100人」のうちの一人として以前から名声を得ている。「チャイナ・クリスチャン・デイリー」によると、冉氏は何年間か信仰から離れていたが、10月31日にインターネット上に「今日、私はイエスに従うことを決めました」と投稿した。
冉氏は、1980年代にキリスト教に初めて出会ったが、10年前の時点ではまだ「信じる意志がない」ままだったという。冉氏は妻の洗礼式で、「仏教、イスラム教、道教よりキリスト教に関心がある」ことを認めたが、キリスト教を探求するのではなく、「違和感を持ったので実体的な進歩は全くなかったのです」と語った。
冉氏は以前ブログの記事で、浙江省における教会の破壊などの当局からの妨害があるにもかかわらず、キリスト教の影響が強まりつつある中国において、キリスト教徒が「正直さのモデル」と「社会的実践への従事」ができる可能性があることを指摘した。
しかし、「中国では、私はあえてクリスチャンになりたくありません」とも述べていた。
米国の書評誌「ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス」との2002年のインタビューで冉氏は、自身が妻と牧師である友人を通して「キリスト教の考え方に影響されている」と言及し、宗教的信念を排斥しようとしている中国の共産党政権を批判した。
「私は信者ではありませんが、無神論者でもありません。私は霊性の価値を知っています。私はその価値を否定しません。共産主義者は、実に宗教を破壊しました。彼らは宗教を全く理解していません」と冉氏。
「もしこの国がよく発展したいのならば、信仰が必要です。NGOも必要です。中国の識者はNGOになっていないと、私は言ってきました。識者たちは『よい人がよい行いをする』と考えています。しかし、これは間違いです。NGOは、教会と同じ理由で必要なのです。非公認の教会は公共のスペースです。今や、そこだけが唯一の本当の意味での公共のスペースなのでしょう」
冉氏の改宗は、中国のオンラインプラットフォーム「Maggie's Gift」で奇跡として称賛されており、国内の識者の間では議論を呼んでいるようだ。
中国の法律で信教や信念の自由は保障されてはいるが、活動家によると、当局はますますキリスト教の影響の広まりに神経をとがらせ、団体を解散させようとしているという。
昨年、中国は独自の国内向けの神学を生み出す計画を発表し、今年5月には習近平国家主席が国外からの影響を抑制することを求めている。
活動家によると、習近平体制下の中国は、ここ20年間で最も強く人権を抑圧する傾向があるという。