昨年末以降、中国政府による一連のキリスト教会破壊運動は収束してきたとみられていたが、いまだに中国の教会から十字架が取り外され続けている。
中国では昨年、浙江(せっこう)省だけでも400余りの教会が、一部または全てを破壊されたとされている。キリスト教に対する迫害を監視する世界キリスト教連帯(CSW、本部:英国)などは、2013年終盤から始まったこの教会破壊は14年終盤ごろから収束しつつあると伝えていた。しかし、同省ではここ数日間だけでも、寧波市や慈渓市、麗水市の教会で十字架が取り外された。
中国家の教会連盟のチャン・ミンシュアン代表は英テレグラフ紙に対し、「私はこの動きが終わるとは思いません」とコメント。チャン代表は、キリスト教が政権に対する脅威であるという誤った認識があると指摘した。
先月には、ある中国の牧師が、同じ地域の教会から十字架が取り外されたことに対する抗議行動に参加したことを理由に、1年の自由刑に処された。
同省温州市にある鳳臥(ふうが)教会のファン・イジ牧師は、警官が教会の屋根から十字架を下ろそうとした直後に逮捕された。その際、群衆の一人が頭蓋骨にひびが入る重症を負う騒ぎとなった。十字架は最終的に取り外された。
イジ牧師はこの騒動をめぐって警察を告発し、他の教会の指導者に十字架をもう一度設置するよう勧めた上、警察の暴力をブログで「厳しい迫害」として批判した。
当局から冷遇されているにもかかわらず、キリスト教は中国で順調に教勢を伸ばしており、中国で今最も成長している宗教だ。正確な人数を把握するのは難しいが、米調査会社ピュー・リサーチ・センターは、中国共産党が政権を握った1949年の中国におけるキリスト教人口は100万人だったのに対し、2010年には5800万人にまで増加したとする調査報告を発表している。