【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)国務長官のピエトロ・パロリン枢機卿は11日、ローマ市内でバチカン外交について講演した際、報道陣に「バチカンと中国の間には、対話しようという意思がある。接触が今後、より具体的な対話につながるように期待している」と述べた。
中国は1951年にバチカンとの国交を断絶した。現在、バチカンは台湾と国交を結んでいる。中国政府は、カトリック教会を公認の「中国天主教愛国会」の下に置こうとしたものの、教皇に忠誠を誓う非公認の教会は愛国会に参加せず、独自に「地下教会」を設立している。バチカンと中国との対立は、聖職者、特に司教の任命に際し、中国がバチカンの権限を無視して独自に行ったことから、深刻化した。
パロリン長官の発言は、中国政府の方策にもかかわらず、国交回復を図ることに疑念を呈している香港のヨセフ陳日君(チェン・リージュン)司教の発言に触れた記者の質問に答えたもの。
国交回復は、バチカン側から教皇ベネディクト16世時代に問題解決を目指して接触が始まったものの、足踏み状態だった。教皇フランシスコは昨年8月の韓国訪問の際、中国に「兄弟としての対話」を呼び掛け、訪中を望む意向を表明した。翌9月には、習近平国家主席に親書を送り、バチカンに招待したとの報道もある。