【CJC=東京】教皇が空路、外国を訪問する際、通過国に電報を送るのは、慣例とされている。今回の韓国訪問に当たって、初めて上空通過を認めた中国に教皇は、習近平主席と中国人民に宛てて神の祝福を祈った。
教皇ヨハネ・パウロ2世が1989年に東アジアを訪問した際には、中国は領空通過を拒否し、教皇はソ連回りを余儀なくされた。その時はミハイル・ゴルバチョフ書記長に電報を送っている。
今回の訪問の目的が「アジア青年の日」への出席だったこともあり、中国の信徒も韓国への巡礼旅行を申請したものの、「中国内部の複雑な事情」から渡航が認められないケースもあった。ただフタを開けて見れば、中国本土の青年信徒約300人がミサに出席していた。
中国政府は、バチカン(ローマ教皇庁)が台湾との外交関係を断絶するよう求めており、また司教任命にバチカンの介入を拒否するなど、微妙な関係が続いている。
それでも、教皇フランシスコが選出された時には祝福の電報が送られるなど、前向きの兆しも見られる。
今回の中国領空を教皇が通過したことを、共産党機関紙「人民日報」の国際版「環球時報」は、「中国とバチカン関係の前向きな展開」と報じた。しかし、国交樹立にはほど遠いと警告している。