最近のキリスト教の成長や無神論の政府にもかかわらず、イスラム教が中国で若い信者を獲得している。
中国人民大学国立調査研究センターによる2015年中国宗教調査で、中国のイスラム教徒のうち22・4%が30歳以下であることが分かった。その次はカトリックで、30歳以下の信者は22%であった。
同大のウェイ・デドン教授(仏教学)は、中国の英字紙グローバル・タイムズに「イスラム教は人口統計学的に若い人が多い傾向があります」と述べた。
「イスラム教徒のほとんどは、民族的少数派のグループに属しており、女性1人が2~3人の子どもを出産するのが普通です」とウェイ教授。「その子たちもまたイスラム教徒になるでしょう。一方、大人のイスラム教への改宗は極めてまれです」と言う。
2013年から15年にかけて、4千カ所以上の宗教施設でのインタビューをもとに行われたこの調査からは、より上の世代では仏教と道教の方が信者数の多いことが分かり、また仏教が全年代合計では最も信者数が多いことが分かった。一方、プロテスタントは礼拝所の数が最も多かった。
「愛国的な宗教組織」に限定された信教の自由
中国は長い間、信教の自由が最もない国の一つと考えられている。米国は1999年以来、信教の自由に関して特に懸念がある国として中国を名指ししている。2014年に発表された米国際信教自由委員会(USCIRF)の最新の報告では、「組織的で言語道断な虐待が現に続いており、急激に増加している」としている。
またその報告には、昨年「中国当局は、その市民生活の全ての観点において権威的な独占をますます進める歩みを始めた」とある。「信仰を持つ人に対しては、逮捕、罰金、裁判での否認の強要、長期の自由刑、また礼拝所の閉鎖や取り壊しという事例もある」と報告している。
中国では憲法上、信教の自由が保障されているといえども、それは仏教、道教、イスラム教、カトリック、プロテスタントの中でも国が認める「愛国的な宗教組織」に属している人にのみ限定されている。中国の公認宗教当局はこのような団体の宗教活動を厳密に取り締まり、また監視しており、諜報機関の職員が各宗教の集会にも立ち会っているとされている。また、多くの公認教会では、壁に監視カメラが設置されているという。
中国宗教調査によれば、礼拝所で働く人の60%が当局の取り締まりを公正と考えていると答えている。しかしこの調査は、当局が推し進める教会取り壊しキャンペーンが、最初に始まった浙江省温州市から、他の地域へ広がっていることも明らかにしている。
少なくとも400の教会が取り壊されるか、強制的に十字架を撤去させられるかしており、被害教会の多くはそのキリスト教徒の多さから「中国のエルサレム」とも呼ばれている温州市にある。アジア圏のカトリック系通信社であるUCAN通信によると、今月2日には、同省の台州教区と杭州教区にある5つのカトリック教会で十字架が撤去させられ、取り壊されたという。
教会を「中国風」にという命令
地元の情報筋によると、当局は教会を「中国風」にするよう命じているという。
「私たちが職員に、教会を『中国風』にするというのはどういう意味かと尋ねると、彼らは『よく知らないけど、とにかく十字架を取り除かないといけない』と答えたのです」とその情報筋は述べ、「これは明らかに、キリスト教に対する弾圧です」と語った。
中国の習近平国家主席は5月、初めて宗教の「中国化」について言及した。「宗教を社会主義社会に取り込むために、積極的な努力がなされるべきだ」と習主席は語った。
中国共産党中央政治局委員の張春賢氏はこれを受けて、宗教の指導者たちに「宗教が正常で健全な方法で発展するために、(信仰を)中国の文化に適応させる」よう勧めた。張氏は6月にウイグル自治区ウルムチ市で、「敵国の力」が宗教団体に浸透していると語っている。