戦後70年を意識し、8月15日掲載の記事を念頭に置き備えてきた小紙の歩みに、多数の読者の方々から応答があり、一同励まされ感謝しました。確かに、取材拒否や連載中止といった圧力はあります。しかし、それらをしのぐ、底に徹した励ましです。
特に故人を対象とする記事において、戦前の教会バツ、今の私たちマルと、イデオロギーでマル・バツと断定してしまう危険性を覚えます。歴史的な制約の中で生きる個人への敬意を忘れずに、丁寧に事実を追うことにより、その事実に潜む問題点を鋭く見抜き、慎みをもって真の批判をなす。その営みを忍耐深く重ね続けることにより、今ここで同じく歴史的制約の中に生きる自分自身、また自分が属する共同体の罪と不十分さも自覚できる。そんな確信と願いから記事を書く。死人に口なしの態度や、死体にむち打つことをしない注意をする必要を自覚しました。
90歳を超えてなお鋭い批判を年若い論敵相手に書いておられた、恩師ロジャー・ニコール先生。先生の生涯を貫く特愛の聖句にあらためて励まされます。
「愛をもって真理を語り」
(エペソ4:15、新改訳)
「愛に根差して真理を語り」
(エフェソ4:15、新共同訳)
「愛に基づいて真理を語り」
(エフェソ4:15、フランシスコ会訳)
(文・宮村武夫)