非戦・非暴力によるキリスト教平和運動団体「日本友和会」(JFOR)は、戦後70年の節目にあたり、「友和会戦争責任告白」「友和会平和責任宣言」「戦後70周年にあたり『大日本帝国』の戦争に関わる加害の事実と責任を認め、誠実に補償することに関する日本国の正式見解を議決することを求める請願書」を8月15日付で公表し、請願書については衆参両議院議長に送付した。
3文書のうち特に重要とされる「友和会戦争責任告白」では、戦前戦中にわたり同会の会員の多くが、キリスト者として平和に取り組む自覚が十分に育っていなかったことで、数多くの過ちを犯してきたことを明らかにしている。それと同時に、戦争加害国である日本が、いまだ近隣諸国への戦争犯罪を懺悔(ざんげ)し、各被害者への謝罪と賠償を十分に果たしていないことに対する同会としての心から謝罪と戦争責任をあらためて告白した。その上で、この責任を全うするために日本政府への働き掛けを続けていく決意を述べている。
この告白文は、1985年にドイツ終戦40周年記念演説「荒れ野の40年」で当時のヴァイツゼッカー大統領が述べた、「かつて起こったことへの責任は若い人たちにはありません。しかし、歴史の中でそうしたことが生じてきたことに対しては責任があります」との姿勢を基本的な考えとして盛り込んだものとなっている。かつての問題が幹部の責任であるとしても、現在の同会員も共に責任を果たしていくとしている。
今回の公表にあたっては、長年歴史資料や文献の調査整理にあたってきた戦前史検討委員会の成果を踏まえ、戦前戦中に過酷な当局の弾圧があったとはいえ、同会にもいくつかの過ちがあったという事実に謙虚に向き合ったという。「平和責任宣言」では、日本が急速に戦争のできる国に傾斜しつつあることを憂慮し、日本国憲法9条と非武装平和・非戦を守り抜くことを最重要視した。
「友和会戦争責任告白」と「平和責任宣言」の2つの宣言を踏まえての衆参両議院議長宛ての請願書では、被害国に対してどのような言葉でお詫びをするかではなく、「戦争責任を認識し、反省し、謝罪し、保障する」ことを誠実に実行すべきだと訴えている。どうしたら「和解」の道が開けるか、前例から謙虚に学ぶべきだとし、戦後70周年にあたり、「大日本帝国」の戦争に関わる加害の事実と責任を認め、誠実に補償することに関する正式見解の議決を求めている。