神学校生活を体験
私は2003年12月に会社を定年退職し、翌月の04年1月に関西聖書学院という神学校の1年生3学期に編入学した。それまで会社生活をしながら通信教育によって取得していた単位が認められ、牧師養成コースへの入学が許可されたためである。その後、06年3月にこの神学校を卒業し、現在まで牧師として、自宅で妻と共に教会を開拓中である。ここでは、私がどのようにしてこの神学校に導かれたのか、そしてそこでどのような生活を体験したのかを紹介したい。
私は定年退職の3年ぐらい前から、退職後はどのような形で神様の働きをさせていただくのがよいかを祈り始めた。祈り始めた当時は、選択肢として三つのことが考えられた。一つは会社に残って働くこと。これは定年退職時に会社の上司から、今しばらく残って後輩の育成にあたってほしいとの強い要望があったことからも、十分可能な選択肢であったと言える。二つ目は、レイマンとして教会に仕えること。当時は所属教会の執事をしていたので、退職後はその所属教会にさらにコミットするという形で、神に仕えさせていただくことが考えられた。三つ目は、神学校に行き、その後フルタイムで神の働きをさせていただくということ。これは、それまでとは全く異なる歩みを始めるという選択であった。これら三つの選択肢を見据えながら、所属教会の牧師や兄姉の方々にも退職後の進路について祈っていただいた。
神はこれらの祈りを通して、私の周囲に予想もしていなかったことを次々と起こされ、最終的には私を神学校に導いてくださった。まず妻が、私が退職する2年前の01年に、東京にある神学校で学ぶように導かれ、神学校に入学した(余談であるが、妻はその後も学びを続け、05年にアメリカのCFNIという神学校を卒業し、さらに06年までカナダのリージェントカレッジという神学校で学んだ)。また、工学系大学院の博士課程の2年生だった長男も、所属教会から派遣されて、大学院を中退して03年4月から、東京にある聖書宣教会という神学校で学ぶように導かれた。長男の神学校入学については、00年に一度相談を受けたが、その時はきちんと大学院を卒業し、就職もした後でなお導きがあるなら、その時に献身する方がよいだろうと彼に伝えた。しかし、02年の9月に再度相談を受けた時には、彼の神学校入学に賛成する思いが私の内に与えられていた。このことを通して、神が私のうちに変化を起こし始められていることを感じた(余談であるが、この長男は神学校を卒業し、現在は古川福音自由教会の牧師をしている)。さらに、東京女子医大で看護師をしていた次女も神の導きにより、03年3月に勤めていた病院を退職し、翌月からフルタイムの献身者としての歩みを始めた。次女は3カ月間、ニュージーランドで語学研修を受けた後、03年9月からOMという宣教団体の宣教船ドゥロス号に2年間乗るようになった(余談であるが、この次女はドゥロス号下船後、デンマーク人の宣教師と結婚し、その後、08年7月にイギリスのICCという神学校を卒業し、10年9月から夫婦で宣教師としてミッション・アフリカという宣教団体からナイジェリアに遣わされ、現在当地の神学校で教鞭を取りつつ神に仕えている)。このように私の定年退職の前に、家族の一人ひとりがそれぞれ神から召しを頂いて献身に導かれるということが起こり、神は私の周囲の環境を大きく変化させられた。
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(参考並びに引用資料)
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・ヘンリー・シーセン(1961年)『組織神学』島田福安訳、聖書図書刊行会
・ジョージ・S・ヘンドリー(1996年)『聖霊論』一麦出版社
・ウィリアム・ポラード(2003年)『企業の全ては人に始まる』大西央士訳、ダイヤモンド社
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門谷晥一(かどたに・かんいち)
1943年生まれ。東京大学工学部大学院修士課程卒業。米国ミネソタ州立大学工学部大学院にてPh.D.(工学博士)取得。小松製作所研究本部首席技監(役員待遇理事)などを歴任。2006年、関西聖書学院本科卒業。神奈川県厚木市にて妻と共に自宅にて教会の開拓開始。アガペコミュニティーチャーチ牧師。著書に『ビジネスマンから牧師への祝福された道―今、見えてきた大切なこと―』(イーグレープ)。