神学校生活を体験・その4
神学校生活ではその他にも、いろいろな試練・苦難に出会った。例えば、自分の息子よりも若い神学生と同じ部屋で生活を共にし、またそのような若い神学生の指示にも先輩であるが故に従わなければならないという場合が多くあった。それはかなり葛藤を覚えるものであったが、プライドを捨てるという良き訓練の機会となった。また、母が突然亡くなるという試練にも出会った。母は未信者であったので、何とか救われてほしいと願っていたが、それを実現させることができなかったのはとても残念であった。さらに、4人のチームのリーダーとして、下級生を率いて宣教旅行中に自動車事故に遭うという試練・苦難にも遭遇した。それは、運転をしていた姉妹の居眠りによって、乗っていた車が対向車線を横切り、走行車線とは反対側のガードレールに激突し、車の前部が大破するというかなりの事故であった。車は、旅行先で廃車にしなければならないほどの損傷を受けた。しかし、ちょうど日曜日の早朝で対向車線を走る車が少なかったこと、また運転席と助手席のエアーバッグが開いて衝突のクッションを和らげてくれたこと、さらにガードレールが弾力性のあるものであったことが幸いし、乗っていた4人はいずれも軽症で済んだ。そして運転していた姉妹を除く3人で、宣教旅行を続けることもできた。本当に、神の守りを覚えたひと時であった。
このように神学校生活では、数々の試練・苦難を体験させられたが、神の特別恩恵によってそれらの試練・苦難を乗り越えることができた。今あらためて主に心から感謝している。献身の時に与えられたマタイ9:37、38の御言葉「そのとき、弟子たちに言われた。『収穫は多いが、働き手が少ない。だから、収穫の主に、収穫のために働き手を送ってくださるように祈りなさい』」が、私を支え続けてくれたことも大きかった。
神学校生活では、このような試練・苦難ばかりでなく、数々の恵みをもいただくことができた。何よりも牧師として必要な神学的な諸知識を、一通り体系的に学ぶことができたことは幸いであった。関西聖書学院の建学の理念が“十字架と聖霊と宣教”であったので、これらの三つのことに関して色々と貴重な体験をすることができたのも感謝であった。また2年生の夏休みには、神学校からの紹介で、シンガポールで開催されたハガイセミナーに参加することができた。これは信徒リーダーを養うことのできるリーダーを育成するための、長期間にわたるセミナーである。二十数カ国のキリスト者と共に約1カ月間の長きにわたって、素晴らしいセミナーを受講できたことは、本当に恵みであった。さらに3年生の時には、大阪にある北浜インターナショナルバイブルチャーチで、神学生として1年間奉仕させていただき、黒田禎一郎牧師からいろいろとご指導いただき、牧会やビジネスマン伝道に対するいろいろな示唆を得ることができた。このことも大いなる恵みであった。そして、神学校卒業後すぐに、イスラエルへ聖地旅行に行くことができ、教会開拓に向けて霊的な備えをすることができたことも、主のお導きであったと心から感謝している。
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(参考並びに引用資料)
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・バンソンギ「キリスト教世界観」石塚雅彦訳、CBMC講演会資料(2005年)
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・ヘンリー・シーセン(1961年)『組織神学』島田福安訳、聖書図書刊行会
・ジョージ・S・ヘンドリー(1996年)『聖霊論』一麦出版社
・ウィリアム・ポラード(2003年)『企業の全ては人に始まる』大西央士訳、ダイヤモンド社
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門谷晥一(かどたに・かんいち)
1943年生まれ。東京大学工学部大学院修士課程卒業。米国ミネソタ州立大学工学部大学院にてPh.D.(工学博士)取得。小松製作所研究本部首席技監(役員待遇理事)などを歴任。2006年、関西聖書学院本科卒業。神奈川県厚木市にて妻と共に自宅にて教会の開拓開始。アガペコミュニティーチャーチ牧師。著書に『ビジネスマンから牧師への祝福された道―今、見えてきた大切なこと―』(イーグレープ)。