「主に信頼し、主を頼みとする者に祝福があるように。その人は、水のほとりに植わった木のように、流れのほとりに根を伸ばし、暑さが来ても暑さを知らず、葉は茂って、日照りの年にも心配なく、いつまでも実をみのらせる」(エレミヤ書17:7-8)
一人のお年寄りが川で洗濯をしています。そばに小さな女の子が立っています。そのお年寄りに聞きます。「この子はお孫さんですか」「ハイ、そうです」。次にその女の子に聞きます。「この人はあなたのおばあちゃんですか」。すると女の子が答えました。「いいえ、違います」
女の子は嘘をついてはいません。では、この二人の関係は何でしょうか。私たちは先入観や偏見にとらわれてしまうと、物事を客観的に冷静に見ることが難しくなってしまいます。このお年寄りは「おじいさん」でした。
イエス・キリストの例え話の中に「種蒔きのたとえ話」があります。そこには4種類の土地が出てきます。土地とは実は「人の心の態度」を表しています。それぞれの土地に同じ種を蒔きましたが、結果は全く違ったものとなりました。
同じように、人が同じ真理を耳にしても、その人の心の態度によって全く違った結果を人生にもたらすのです。最初は「道ばた」です。人々に踏み固められてカチカチになっています。そこに蒔かれた種はすぐに鳥が来て食べてしまいました。これは先入観や偏見にとらわれてしまっていたり、「常識」という枠に縛られて新しい考え方、新しい発見ができなくなっていたりする人の心の状態です。このような心からは、新しいものは何一つ生まれてきません。
英国の数学者であり、物理学者でもあったケルヴィン男爵は1895年、「空気より重い『空飛ぶ船』など造ることは不可能である」と発表しました。しかし、この権威ある学者の発表を疑った人がいたので、今日飛行機が大空を飛んでいるのです。また、コロンブスは「水平線の向こうは滝のようになっていて遠くへ行くのは危ない」という当時の常識を無視して航海に乗り出し、アメリカ大陸を発見したのです。
アルバート・アインシュタインは、「人間が頭で考えることは、すべて実現可能である」と言っています。あなたの心は、新しいものに対して常に開かれているでしょうか。
次は「土の薄い岩地」です。種を蒔くとすぐに芽を出しましたが、深く根を張っていなかったために、太陽が昇るとすぐに枯れてしまいました。これは、諦めが早く、すぐに物事を投げ出してしまう人の心の状態です。新しいものにすぐに飛びつくのですが、忍耐力がないために長続きしません。その結果、何も得ることができないのです。
アメリカのゴールドラッシュ時代、ダービーという青年が全財産をはたいて鉱山を買い、一山当てようと採掘を始めました。しかし、掘っても掘っても、何も出てきません。彼はその鉱山を二束三文で他人に売り払ってしまいました。買った人が、物は試しと掘ってみると、何と1メートル下から金の大鉱脈が発見されたのです。ダービー青年の問題は、諦めるのが早すぎたということです。忍耐力のない人は、何も手に入れることはできないのです。
次は「いばらの生えている地」です。これは世の心遣いや冨の惑わし、色々な欲望が入り込んで種をふさいでしまって実を結びません。これは、優先順位が確立されていない人の心の状態です。
アメリカのベツレヘム・スチールという会社が倒産しそうになった時、再建を任されたのは、経営コンサルタントのⅠ・B・リーという人物でした。彼は会社員に4つのことを徹底的に実行させ、見事に危機を脱したのです。その4つのこととは、次の通りです。
1. 前の日に明日することを6つ書き出す。
2. それに優先順位をつける。
3. その日、会社に行ったら、その紙を机の上に貼る
4. すぐに優先順位に従って実行する。
最後は「良い地」です。良い地に落ちた種は育って実を結び、30倍、60倍、100倍になるのです。これは、神の言葉や人のアドバイスを素直に受け入れ、自分に賢く適応し、実行できる心の状態です。
英国の名宰相として名高いグラッドストンは、首相にと請われた時、一つの条件が満たされれば引き受けてもよいと言ったのです。その一つの条件とは、「どんなに忙しくても日曜日に教会の礼拝を守ること」でした。彼の英国史上、まれに見る政治的実績の数々は、神から来る知恵や力を源泉としていたのです。
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