「雨や雪が天から降ってもとに戻らず、必ず地を潤し、それに物を生えさせ、芽を出させ、種蒔く者には種を与え、食べる者にはパンを与える。そのように、わたしの口から出るわたしのことばも、むなしく、わたしのところに帰っては来ない。必ず、わたしの望む事を成し遂げ、わたしの言い送った事を成功させる」(イザヤ55:10、11)
第一生命保険相互会社に、柴田和子さんというセールスレディがいます(75歳で引退され、80歳まで仕事を続けると公言されている―編集子)。
1970年に入社、78年に生命保険セールス日本一になり、それ以来ずっと日本一の座を保っています。91年の実績は契約額2028億円、その内訳は企業保険1750億円、個人保険278億円という途方もない数字です。これは平均的な外務員804人分の数字に相当します。88年のギネスブックには、「生保セールス日本一の座を9年間続けているセールスレディ」と紹介されています。彼女は今、日本のみならず、海外からも講演会講師として招かれています。
全国には生保のセールスマンは40万人から50万人いるそうです。そして一年間にこの世界に30万人が入ってきて、30万人が辞めていくという厳しい世界です。そんな世界で柴田和子さんは勝ち続けているわけです。その秘訣は一体どこにあるのでしょうか。
柴田さんは著書『正々堂々のセールス』の中で次のように述べています。「壁は心のうちにある。多くの人は状況が変化し続けているのに、ついていこうとしないのである」
柴田さんは1歳と2歳の子どもを抱え、事務員として入社しました。しかし、入社4年目に「セールスをやってくれ」と言われました。「話が違う!」と思いましたが、しかし、後ろ向きに考えないで「どうせやるなら、最高のものを目指す」と決心したのです。そして8年後からセールス日本一を続けています。
柴田さんは言います。「ノルマは高いほうがいい。それは、私にとっては重荷ではなく目標である。それだけ自分が期待されているわけだから」
「壁は心のうちにある」。まさしく名言です。多くの人は困難にぶつかるとすぐに「これは難しい」とか「これは不可能である」と言ってすぐに諦めてしまいます。そしてできない理由をいっぱい並び立てて自分の考えを正当化しようとします。
しかし、そんな時信頼できる上司や先輩から「大丈夫! キミならできるよ。ボクが保証する。チャレンジしてご覧よ。大丈夫だから」と断言されると、自分のうちに築いた壁が少し崩れます。さらに続いて励まされ、促されるとさらに壁が崩れていきます。
つまり、信頼できる人の権威ある言葉が、その人の心の中の壁を少しずつ崩していくのです。この事がもっと顕著にあらわれるのは、人が神の言葉を聞いた時です。神の言葉は生きていて力があります。ですからそれを聞いて受け入れるとき、その人の心のうちの壁が崩れていきます。
『アポロ13号』という映画があります。実話を元に製作されました。1960年アポロ11号が月に着陸し、それに続いて月着陸の目的でアポロ13号が打ち上げられました。しかし打ち上げ後地上から33万キロの宇宙でトラブルに見舞われました。酸素かくはんスイッチが爆発しました。酸素は吸入用であり、水素と反応させて水と電気を作ります。それが爆発したのです。絶望的な状況です。地上のヒューストンもパニックに陥りました。その間にも酸素はどんどん減っていきます。メーターが0になったら飛行士たちは死にます。ニクソン大統領は飛行士たちの殉教声明文を準備しました。
結果から言うと、彼らは月面着陸船で脱出するという奇抜なアイデアによって奇跡的に帰還しました。彼らが帰還できた原因の一つは、地上で2万人以上の人々が技術的に助けたことです。そしてもう一つは3人の宇宙飛行士たちが決してあきらめなかったことでした。
地球に帰還後の記者会見で、36歳で一番若い飛行士フレッド・ヘイズは、こう話しました。
「暗く、凍りついた船内、水もない、酸素も薄れて尿毒症にかかりながらも私たち三人はクリスチャンとして、一つの聖書の言葉に支えられていました。それは次の言葉です」
「あなたがたの会った試練はみな人の知らないものではありません。神は真実な方ですから、あなたがたを、耐えられないほどの試練に会わせることはなさいません。むしろ、耐えられるように、試練とともに脱出の道も備えてくださいます」(Ⅰコリント10:13)
この絶望的状況の中で、彼らの心を支えたのは聖書の言葉でした。船長のジム・ラヴェルは各地での講演会で語ります。
「皆さん、どんな時も絶対にあきらめてはいけません。神を信じ、希望と勇気を捨ててはいけません。祈りは必ず聞かれます。困難を乗り越えるための知恵と力とは必ず与えられます」
あなたも不可能という心の壁を壊すために、絶望という心の壁を乗り越えるために、神の言葉に支えられ、励まされて歩んでみませんか。
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