水曜日の聖書勉強会中に起きた銃乱射事件で9人が亡くなった米サウスカロライナ州チャールストンにあるエマニュエル・アフリカン・メソジスト監督(AME)教会で、事件からちょうど1週間たった24日水曜日、予定を変更せずに定例の聖書勉強会が開かれ、100人以上が事件現場となった同教会の部屋に集まった。
殺害されたクレメンタ・ピンクニー牧師の代わりに、同教会の臨時牧師に選ばれたノーベル・ゴフ牧師は、この水曜日夜の聖書勉強会は教会のメンバーにとってこれまでと同じではあり得ないが、その信仰によって100人強の参加者が、事件のたった1週間後にもかかわらず、神を礼拝するために現場となった部屋に集まったと語った。
米CNNによると、ゴフ牧師は「この領域は神に属します」と参加者に語った。「聖書の勉強会は続きます。しかし事件の結果、私たちは決して同じではあり得ません」とコブ牧師は言い、「私たちは信仰によって、イエスが生きていることを宣べ伝えるためにもう一度集まりました。そしてイエスが生きているので、私たちは明日に向かうことができます」と語った。
聖書勉強会は通常通り、午後6時から始まり、2時間後に終了した。
CNNによると、聖書勉強会が開かれた部屋の天井のタイルには、テープで覆われた銃弾の痕が警察の鑑識が付けた印と共に残っていたり、新しいタイルが数枚取り付けられていたりと、ディラン・ルーフ容疑者(21)による銃乱射で破壊された痕跡が色濃く残っていたという。
「先週、闇の力がマザー・エマニュエルを訪れました」とゴフ牧師。「でも、大丈夫なのです。神はその計り知れない知恵によって、『大丈夫です。9人は私のところにいます』とおっしゃいました」と語った。
ゴフ牧師は、「愛の力」をテーマにメッセージを伝え、参加者に艱難から逃げずに「神に向かって走る」よう勧めた。
出席者の一人、ロゼッタ・ラビングさんは米NBCニュースに、「混雑していて、追加で席を用意しなければならなかったのです。しかし、全員が同じところを向いていたように見えました」と語った。「ゴフ牧師は3カ所の異なる聖書箇所を読み、神は『赦(ゆる)す愛』であり、愛が傑出していると論じました。そしてチャールストンの街と人々がどれだけ一つになっているかについて語りました。他の街のようではありません」
銃撃事件の犠牲者の一人、マイラ・トンプソンさんの家族も聖書の勉強会に参加していた。
トンプソンさんの姉妹である、マーリーン・コークレー・ジェンキンスさんは、聖書勉強会終了後に報道陣の質問に答えた。その中で、たった7日前にトンプソンさんと他の人が殺害された部屋に行くことで、心にトンプソンさんの死にまつわる恐怖などが生じたかと質問を受けた。
これにジェンキンスさんは、「いいえ、7日前の夜を見に来たわけではないからです」と答え、「私たちは、姉妹が幸せで生きていることを見て取り、そして部屋に入りました。部屋は同じいのちに満ちていました」と語った。
ジェンキンスさんはまた、ゴフ牧師のメッセージは「霊的」で「引き上げられたと感じた」と述べた。
「説教は旧約聖書から始まり、新約聖書へと移りました。そしてそれは、私たちの人生がどのようであるかというのにも通じていました」とジェンキンスさんは述べ、「私たちはこの教会で育ちましたので、聖書を理解していますし、ここにいる目的も理解しています。私たちは、私たちが行った全てのこととあの部屋で起こったことについて、それはただ子どもの頃から教わってきた愛が投影されたものなのだと知っています」と付け加えた。
ゴフ牧師は「愛の力」について説教する中で、キリストへの非常に大きな愛によって、銃撃事件の犠牲者の遺族や友人が、保釈諮問のため容疑者が初めてのビデオ出廷した際、犯人を赦すと伝えることができた事実について触れた。
犠牲者の一人、エセル・ランスさんの娘は保釈諮問の際、ルーフ容疑者に「私は2度と母を抱きしめることはできないのです。それでもあなたを赦します」と語った。そして、「あなたの魂の上に憐(あわ)れみを置きます。あなたは私を傷つけました。多くの人々を傷つけましたが、神があなたを赦しますので、私もあなたを赦します」と続けた。
マイラ・トンプソンさんの親族であるアンソニー・トンプソンさんはルーフ容疑者に、そのような憎むべき行いをしたことを「悔い改める」よう勧めた。
「私はあなたを赦します。私の家族もあなたを赦します」とトンプソンさんは言い、「この機会を悔い改めに使ってください。告白してください。あなたの人生を、最も気に掛けてくださる方、キリストにささげてください。そうすればキリストはあなたに起こったことが何であれ、あなたとあなたの歩みを変えてくださいますし、あなたはもうそれでよいのです。それをしてください。そうすれば、今この時よりもあなたは良くなりますから」と語った。