米国の黒人教会の教派であるアフリカン・メソジスト監督(AME)教会は現地時間の18日、その前夜に同教派のエマニュエル・アフリカン・メソジスト監督教会(マザー・エマニュエル)で起きた銃撃事件に関する見解を同教派の公式サイトで発表した。
AME教会の監督会議議長であるジュリアス・マキャリスター監督をはじめとする30人の監督の名前が記されたこの発表資料で、AME教会はこの事件について悲しみと被害者への同情を表すとともに、この事件は米国に残っている「人種問題」であるとして、それを直視して取り組む必要があると強調した。
そして、容疑者の逮捕で「この問題が終結したとは思っていない」と述べ、命を失った人々の遺族や関係者への祈りを呼び掛けるとともに、その埋葬や費用を支援するための献金を募っている。
AME教会の発表資料本文の本紙による日本語訳は次の通り。
アフリカン・メソジスト監督教会の監督会議は、私たちの所属教会や世界中の会員と共に、サウスカロライナ州チャールストンにあるマザー・エマニュエルAME教会のクレメンタ・ピンクニー牧師や他の8人の教会員の命を奪った、この無意味で悲劇的な襲撃について、自らの悲しみと同情を表明します。マザー・エマニュエルは南部で最も古い黒人教会で、この国で最も歴史的な教会の一つです。学び祈るためにマザー・エマニュエルに集まっていた人たちの命を奪ったこの無意味で邪悪な行為は、私たちの国とその市民が直面している重大な危機を示しています。私たちは、加害者で殺人容疑者であるディラン・ストーム・ルーフが逮捕されて喜んでいる一方、この問題が終結したとは思っていません。
第一に、私たちは、教会牧師であるクレメンタ・ピンクニー牧師と、教会員であるダニエル・シモンズ・シニア牧師、シンシア・ハードさん、シャロンダ・シングルトン牧師、マイラ・トンプソンさん、タイワンザ・サンダースさん、デペイネ・ミドルトン・ドクター牧師、スージー・ジャクソンさん、そしてエセル・ランスさんを失った、マザー・エマニュエル教会と悲しみを共にします。私たちはまた、ピンクニー牧師という傑出した州上院議員である指導者を失ったサウスカロライナ州と悲しみを共にします。第二に、私たちは、この悲劇によってうろたえ悲しんでいる家族の方々と私たち全員を慰め、回復し平安をお与えくださるよう、神に愛と憐(あわ)れみそして恵みを祈り求めます。私たちの信仰が強められ、私たちの希望が回復されますように。
最後に、私たちはこの国の政治指導者や宗教団体、そして他の団体に対し、この国では人種が問題のままであるという現実を直視するよう呼び掛けます。「加害者で殺人容疑者であるディラン・ストーム・ルーフの逮捕は、この問題を終わらせることにはなりません。実際、この問題は人種が私たちの国で大きな問題であり、対処しなければならないことをさらに明らかにしています」と、アフリカン・メソジスト監督教会の監督会議議長であるジュリス・マキャリスター監督は述べました。「この国は、それを否定して生きたり、それがあたかも存在しないかのように振る舞ったりすることは、もはやできません。毎週、人種の悪影響に関わる事件が起きています」と同議長は付け加えました。「AME教会は他の信仰共同体と共に、この国における人種の問題を直視し、議論し、真正面からそれに直面する必要性を強調します」と、AME教会の主任監督であるジョン・R・ブライアント監督は述べました。
「サウスカロライナ州のアフリカン・メソジスト監督教会は力強くて忠実であり、私たちは平等と社会正義に対する自らの責務を敬遠したり、減少させたりすることはしません」と、サウスカロライナ州の管理監督であるリチャード・フランクリン・ノリス監督は述べました。「これによって私たちはさらに強められ、この地上における神の御国を推し進める決意をさらに固めることでしょう。この悲劇が私たちを弱くすることはなく、むしろ私たちを強めることでしょう。アフリカン・メソジズムはこの悲劇によってさらに強くなるでしょう」と同監督は述べました。
この過去数年にわたって、人種の問題は減少したわけではなく、むしろ増大してきました。言われてきたことに耳を傾けてみましょう。「私たちは自らの国を取り戻したい」と。この問いは誰からのものでしょう? ルーフは、自分が黒人を殺さなければならなかったのは、私たちが彼の国にしていることによるものだと述べました。この最近のサウスカロライナ州チャールストンでの悲劇や、ミズーリ州ファーガソンのマイケル・ブラウンさんの死、スタテン島のエリック・ガーナーさん、ニューヨークのエイキル・ガーリーさん、オハイオ州クリーブランドのタミル・ライスさん、そしてバルティモアのフレディ・グレイさん、「猿」と呼ばれ侮辱されて市民権を疑われた私たちの国の大統領は、全て全体的な人種問題を示唆しています。
9月にアフリカン・メソジスト監督教会は自らの姉妹共同体や他の協力団体と共に、この国に対し、この国にある人種の問題に取り組ませてゆきます。詳細は来月発表されます。
監督会議は私たちの教会や他の共同体と教会の全ての人たちに対し、私たちがどこで礼拝するかにかかわらず、今週は自らの命を失った人たちやそのご遺族、マザー・エマニュエル教会、そして私たちの国のために、共に祈ってくださるよう呼び掛けます。
自らの命を失った人たちに関する埋葬や費用を支援するための献金は、下記へお送りいただけます。
“Mother Emanuel Hope Fund”
c/o City of Charleston
P. O. Box 304
Charleston, SC 29402より詳しい情報は、都市及びエキュメニカル問題担当監督で、AME教会社会活動委員会の委員長であるレギナルド・T・ジャクソン監督(Bishop Reginald T. Jackson, Bishop of Urban and Ecumenical Affairs and Chair of the Social Action Commission of the AME Church)にメールで、Reginald.jackson132 verizon.net(132の後に@マーク)まで問い合わせてください。