米ニューヨークのマンハッタン南端にある300年以上の歴史を持つトリニティ教会は、物議を醸した前教区牧師ジェームズ・H・クーパー司祭の辞任数カ月後に、マンハッタン・ソーホー地区にある同教会所有の豪華な牧師館を売却することを決めた。クーパー司祭はこれまで、この建物を自身の住宅とするよう要求していた。
トリニティ教会は、ブロードウェイと世界の金融の中心地であるウォール街の交差点に位置し、世界で最も裕福な聖公会の教会区の一つとされている。米ニューヨークポスト紙によると、ニューヨークのファッション街であるソーホー地区にある同教会所有のこの建物が、1200万ドル(約14億4000万円)で市場に売り出されるという。同教会は、この建物を将来の教会指導者が恒久的に使用する牧師館として550万ドル(約6億6000万円)で購入したが、クーパー司祭が2月に辞任したことで、今回売りに出されることになった。
クーパー司祭の後任者として就任したのは、ウィリアム・ラプファー司祭。トリニティ教会近くのバッテリーパークシティにある3つのテラスとハドソン川を一望できる2300平方フィート(約214平方メートル)のアパートを与えらた。同紙によると、家賃は月1万5000ドル(約180万円)。現在70歳のクーパー司祭とオクタビア夫人は、既にフロリダ州ポンテベドラビーチに引っ越している。
クーパー司祭は2012年、同教会の宣教に反する行為とそれまでの浪費について非難され、また伝えられたところによると、同教会区の教区委員22人のうち10人が解任されるか辞任した。
クーパー司祭は、日曜日の礼拝出席人数を誤って報告したことや、ソーホー地区にある建物を自身の住宅とするよう要求したこと、さらにフロリダ州にある分譲マンションの手当と高額な給料を求めたこと、また教会の経費で世界中を旅行し、高級分譲マンションの開発計画に100万ドル(約1億2000万円)以上費やし、広報キャンペーンに500万ドル(約6億円)も支出したことなどで非難を受けている。
米国聖公会はクーパー司祭に宛て、「トリニティ教会区委員会は、ジェームズ・H・クーパー司祭が、2015年2月をもって辞任するという彼の意向を受け入れた」とする内容の書簡を送っている。
クーパー司祭は、 フロリダ州にあるキリスト監督教会の前教区牧師であり、2004年に314年の歴史を持つこのトリニティ教会の教区牧師に任命された。一方、報道によると、今回の退任については教会関係者らともめ、世界貿易センタービル近くの一等地に立つトリニティ教会の付属墓地に納骨を要求することもしていたという。
クーパー司祭は2011年に一度、退任時の豪華な特典と引き換えに辞任することに合意したが、その後にそれを拒否していた。