『X-MEN』シリーズのウルヴァリン、『レ・ミゼラブル』のジャン・バルジャンなどを演じた、オーストラリア人俳優ヒュー・ジャックマンが、新約聖書の著者の一人で初期キリスト教の発展の基礎をつくった使徒パウロを描く映画『Apostle Paul(原題)』に出演することが明らかになった。英ガーディアン紙(電子版)など複数のメディアが報じた。
製作には、ジャックマン本人も加わり、さらに『プライベート・ライアン』や『オーシャンズ11』シリーズのマット・デイモン、『アルマゲドン』のベン・アフレックが参加するという。長年にわたってウルヴァリンを演じてきたジャックマンと、米国で来年公開予定の『バットマン v スーパーマン:ドーン・オブ・ジャスティス』でバットマンを演じるアフレックの、マーベル・コミックとDCコミックの二大アメコミヒーローが奇しくも“共闘”することになった本作は、クリスチャン以外にも、アメコミファンなどの注目を集めそうだ。
本作の主人公パウロ(ユダヤ名:サウル、パウロは「小さき者」の意)は、紀元1世紀に活躍した使徒(イエス・キリストの弟子)で、聖書の代表的な登場人物だ。新約聖書の27書簡のうち、パウロが書いたとされる「パウロ書簡」は約半数の13書簡(一説には14書簡)といわれている。
しかし、もともとはファリサイ派と呼ばれる厳格なユダヤ人一派の人で、最初の殉教者として聖書に記録されるステファノの処刑にも賛成するなど、初期のキリスト教会を迫害した人物だった。だが、教会を迫害するため、現在のシリアの首都ダマスカス(ダマスコ)に向かう途中、突然失明。「なぜわたしを迫害するのか」というイエス・キリストの声を聞いたことをきっかけに改心した。エルサレムから、最終的には当時の世界の中心であったローマまで、「福音」(イエスのもたらした最高の知らせ)を知らせるために一生をささげた。
本作は、「熱心さゆえ」に教会を迫害したパウロが、イエス・キリストから啓示を受けて伝道者として歩むようになる姿を、史実に忠実に描くスペクタクルドラマとなる予定。まだジャックマンが主演する以外、キャストの情報は明らかにされておらず、デイモンとアフレックが出演するかどうかも未定だ。
近年は、聖書やクリスチャンの生涯を題材にした映画が次々と公開され、話題を集めている。ジャックマンと『レ・ミゼラブル』で共演したラッセル・クロウが主演の『ノア 約束の舟』や、イエス・キリストの生涯を描いた『サン・オブ・ゴッド』、クリスチャン・ベールがモーゼを演じた『エクソダス:神と王』は日本でも公開された。
さらに、米国では今月3日に、『David and Goliath(ダビデとゴリアテ、原題)』が公開され、来年には『ベン・ハー』のリメイク版が公開を予定している。日本では、今年6月に公民権運動の指導者として名高いキング牧師を描いた『セルマ』が公開される。