ドイツの宗教改革者マルティン・ルター(1483~1546)によって、ギリシャ語からドイツ語に翻訳された「ルター訳聖書」が、上智大学中央図書館(東京都千代田区)で公開されている。「フォイエルアーベント聖書」と呼ばれるこの豪華な聖書は、1560年に刊行(装丁は1674年)された旧約・新約聖書完本。
著名な出版家ジークムント・フォイエルアーベント(1528~90)は、宮中伯(中世ドイツの爵位の一つで大臣に相当)フリードリヒ3世からルター訳聖書出版の特権が与えられ、1560年から1602年までに13版を重ねた。これらは、フォイエルアーベント聖書と呼ばれ、公開中の聖書は貴重な初版本。
上智大学神学部教授の佐久間勤氏によると、聖書の教えを民衆に分かりやすく伝えるという目的で、この聖書には、150点以上の手彩色木版画の豪華な挿絵が収録されているという。フォイエルアーベントの挿絵入聖書は、その後作られた聖書のモデルとなり、プロテスタント教会のみならずカトリック教会にも大きな影響を及ぼしたと説明している。
今回公開されている聖書は、2013年度私立大学等研究設備整備費の補助を受けて、上智大学が昨年購入したもの。所蔵する研究機関は国内では同大のみで、公開後は貴重本書庫に保管され、現物を目にすることは難しくなるという。
公開日時は、3月23日(月)~4月28日(火)の午前9時〜午後5時(3月中、4月は午後6時まで)。土曜日は午後4時半(3月中、4月は午後5時まで)。学外の人は図書館入り口で、「ルター聖書見学希望」と伝えてほしいとのこと。日・祝日は公開していない。
公開中の聖書は、図書館OPACでも全ページが電子版で閲覧可能となっている。電子版のリンク先はこちら。