広島経済大学(広島市、前川功一学長)がこのほど、ドイツの宗教改革者マルティン・ルターが16世紀前半に翻訳した「ドイツ語新約聖書(通称:9月聖書)」の初版本を入手。10月に広島市内で公開することが決まった。同聖書の初版本は世界に39点しかなく、日本での入手は初めて。中国新聞が伝えた。
9月聖書はルターがヘブライ語・ギリシア語からドイツ語に翻訳したもので、1522年9月の出版。縦31・5センチ、横21・5センチ、厚さ4・5センチで約440ページ。表紙は半革製で、ドイツの画家クラナッハによる木版画24枚も挿入されている。同聖書は活版印刷術を用いて初版は3000〜5000部印刷され、数週間で完売。12年間で80版以上を重ね、宗教改革の原動力となった。
広島経済大は人類史に残る書物を研究・継承するため初版本を収集しており、9月聖書初版本は丸善を通じてドイツの古書店から入手した。同聖書は10月2日から、広島市中区のひろしま美術館で始まる「本を彩る美の歴史」展で公開される。