【CJC=東京】教皇フランシスコは4日、バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ広場で行われた水曜日恒例の一般接見の際、1万2000人の信者を前に「医学の発達により人間の寿命は延びたが、寿命に対して社会が広がってくれない」と述べ、高齢者が増加する一方で、尊重と理解をもってお年寄りを受け入れる態勢が社会において十分でないと指摘した。バチカン放送(日本語電子版)が報じた。
教皇は、若いうちは年を取ることを考えなくてすむが、実際に老人になったとき、特に経済的問題や病気、孤独を抱えている場合に、高齢者を無視する、効率優先にできた社会の欠陥を知ることになると語った。
教皇は、アルゼンチン・ブエノスアイレスの大司教時代、老人たちの限界は自分たちの限界でもあるということを理解し受け入れることができず、若い人だけを必要とする社会のエゴイズムのために打ち捨てられた多くの高齢者たちの現実に触れたと、疎外され孤独に生きる老人たちのエピソードを想起した。そして、教会の伝統は、「叡智(えいち)の宝庫」である高齢者に常に愛情と連帯をもって寄り添うことを教えてきたと教皇は強調した。
AFP通信によると、教皇は「高齢者の切り捨ては大罪だ」と言明、「お年寄りはエイリアンではない。私たちも間もなく、あるいはいずれ、必ず年を取る。つい、そのことを考えないようにしがちだが」と語った。