元朝日新聞記者の非常勤講師雇用をめぐり、昨年から脅迫を受けていた北星学園大学(札幌市)は3日、新たな脅迫状が届いたことを同大のホームページ上で発表した。6〜8日に実施される同大の入試を狙った悪質な内容で、同大は直ちに管轄の警察署に被害届を提出した。脅迫に対して田村信一学長は声明で、「本学に対するこのような卑劣な行為は許されるものではありません」と非難した。
同大によると、脅迫状は「2月6日から実施される本学の一般入学試験会場とその周辺において、本学関係者に危害を加えるといった極めて悪質な内容」だという。報道によると、脅迫状は学長宛ての手書きの文章で、1月31日消印。2月2日に大学が開封したという。同大に届いた脅迫状はこれで5通目となり、警察は威力業務妨害容疑で捜査している。
キリスト教信仰を建学の精神とする同大では、慰安婦問題に絡めて元朝日新聞記者の植村隆氏を非常勤講師として採用していることに対し、昨年3月中旬ごろから電話やメール、ファックス、手紙などで、多くの抗議が寄せられるようになった。さらに同5月には、悪質な脅迫状が届き、7月にも同一内容の脅迫状が複数届いた。また「大学を爆破する」と脅迫する電話もあり、警察に被害届を出していた。
そのような中で昨年9月30日、同大は、寄せられた抗議や脅迫への対応を説明する文書を、学長名でホームページ上に掲載した。その中で田村学長は、同大が取るべき対応については主体的に決める、慰安婦問題と植村氏の記事については同大は判断する立場にない、大学自治を侵害する卑劣な行為には毅然として対処する、とした大学としての立場を明確に示した。
一方、植村氏が同大で担当する国際交流特別講義は、海外の提携校の要請により開講したもので、外国人留学生向け(日本人学生にも開講)に「北海道の歴史と文化」などをテーマに行われているという。田村学長は「慰安婦問題や過去の特定の記事には何ら関係がないもの」と説明していた。
そして、昨年12月17日、同大は植村氏との2015年度の契約を更新すると発表した。
新たな脅迫状を受け、田村学長は、受験生が安心して受験に臨めるよう万全の警備に取り組むとした上で、同大の基本的立場については、昨年9月30日に示した立場と変わりはないと述べた。