カトリック教会の米ニューヨーク大司教区は今年、112以上の小教区を統合し、新たに55の小教区を作り、それに伴い33もの教会の閉鎖をする計画である。
ニューヨーク大司教であるティモシー・ドラン枢機卿は、今月2日に統合について発表。「この大司教区の歴史の中で、合併する小教区の住人にとっては、今回の新体制への移行期間は間違いなく困難な時期となるでしょう」とドラン枢機卿は語った。「霊的生活の変化を迎えていくにつれ、傷つき、いらいらしたり、不安になったりする人が多く出てくるでしょう。そして私もその中の一人となります」
今回の合併は、2010年に打ち出された大司教らによる牧会計画構想「全てのものを新しく」の一部である。
「『全てのものを新しく』の関係者で、この計画がカトリックの信者たちに大きなインパクトを与えるであろうことを理解していない人はいません」とドラン枢機卿は続ける。「各小教区において、みなさんと一緒に力を合わせ、この変化をスムーズに行うことが、私たちの果たすべき義務となるでしょう」と言う。
米ニューヨーク・タイムズ紙のシャロン・オターマン氏による記事によれば、教会の閉鎖の発表を伝えるニュースは、閉鎖される教会のメンバーたちにさまざまな感情を起こさせた。
「イーストハーレムの聖ロザリオ教会では、喘(あえ)ぎと涙があった。マウントバーノンの聖心教会では、信者たちが悲しみに沈み抱き合う姿が見られた」と、オターマン氏は記事でつづっている。「そして、イーストサイドの平和の聖母教会では、小教区民たちは闘うことを強く心に決めた。スタテン島からキャッツキルズでは、自分たちの教会が事実上閉じられることが分かった教会員たちに苦悩の色がうかがえ、自分の小教区では閉じられないと分かった教会員たちの間には安堵の様子が見られた」と伝えている。
閉鎖は来年8月までには完了する見込みだ。これらは受階者数の減少や礼拝への定期出席率の低下という点も考慮され、決定される。
ジョージタウン大学がまとめた米国内の統計によれば、小教区と司祭の減少を取り巻く問題は、何もニューヨーク大司教区に限ったことではないという。
米国のカトリック教会において、司祭の総数は過去40年間にわたり急速な低下が見られる。1970年には、米国における司祭の総数は約5万9千人であったが、2010年までにその数は4万人以下になった。また、1990年に米国では約1万9600の小教区があったものの、現在は1万7500を下回り、過去50年間で最低の数であると同大学は推定している。
さらに、「常駐の司祭」がいない小教区の数は過去半世紀において着実に増加しており、1965年の549区から、2014年にはほぼ3500区に増加した。