日本カトリック正義と平和協議会会長の勝谷太治司教は11日、「憲法9条を保持する日本国民」がノーベル平和賞候補になったことについて、「今回ノミネートされたことだけを考えても、憲法9条のこの不戦の平和理念こそが時代や地域を超えて人類に平和をもたらす現実的な力を持つことを世界が認め支持したことを意味します」と述べた。
勝谷司教はまた、「私たちはこの様なすばらしい憲法を持つことを誇りとし、この理念を守り続けるようこれからも力を合わせて取り組んでいきます。そして、ノーベル賞受賞への働きかけを今後も継続していきたいと考えています」と、今後も働きを継続する意向を語った。
日本友和会理事で奈良県の市民団体「小さい9条の会」元代表の木村宥子氏も10日、本紙に対し、憲法9条のノーベル平和賞受賞に向けた運動には「大きな意味がある」として、「これからも続けることが大切」だとメールで伝えた。
今年の受賞はならなかったが、「憲法9条にノーベル平和賞を」実行委員会は、署名運動のウェブサイトで、「この署名は、ノーベル平和賞を授与されるまで継続いたします」と伝えている。
両氏のコメント全文は下記の通り。
今回のノーベル平和賞候補に挙げられていた「憲法9条を保持する日本国民」は残念ながら受賞を逃しました。今回のノーベル平和賞への推薦は一主婦が発案し、当協議会も賛同し、そしてその後大きなうねりとなって多くの国民が署名を通して後押ししたものです。
現在日本は、緊張高まる国際情勢の中で、武力による抑止力こそが現代社会において平和を維持する現実的な策であるとして、9条の不戦の理念を解釈によって変更しようとする流れの中にあります。しかし、今回ノミネートされたことだけを考えても、憲法9条のこの不戦の平和理念こそが時代や地域を超えて人類に平和をもたらす現実的な力を持つことを世界が認め支持したことを意味します。
9条に謳われている理念は、今の世界にあってこそ必要なものであり、世界に向かって掲げられるべき崇高な指針なのです。私たちはこの様なすばらしい憲法を持つことを誇りとし、この理念を守り続けるようこれからも力を合わせて取り組んでいきます。そして、ノーベル賞受賞への働きかけを今後も継続していきたいと考えています。
勝谷太治司教
ノーベル平和賞がマララさんに決まったことは、大変重要で良かったことだと思います。
ですが、同時に9条が今年選ばれなかったことは非常に残念です。今年選ばれるということは日本だけでなく世界の向く方向に大きな影響があると思われるからです。この賞をもらったからと言って9条が変えられる心配がなくなるわけではありませんが、現政権には非常に大きなプレッシャーになり、9条だけでなく憲法を変えにくくなったでしょう。ひいては集団的自衛権、秘密保護法、日本版NSCなども実行しにくくなるでしょう。それは日本だけでなく世界の安定に大きな意味があるからです。
しかし、今回41万を超す署名を集められたということは、加速度的に9条を知り、非暴力について考える人が多くなってきているということです。ノーベル賞がもらえたかどうかにかかわらず、このことは大変大きな意味のあったことだと思います。
このためにもこの運動はこれで終わらせず、これからも(たとえ9条が変えられても)続けることが大切でしょう。
日本友和会、小さい九条の会
木村宥子