日本では未配給のクリスチャン映画に日本語字幕を付けて提供している「クリスチャン映画館」でこのほど、最新作となる「笛を吹け」(原題:Play The Flute)が公開された。
双子の兄弟でさまざまなクリスチャン映画を手がけているリッチ・クリスティアーノ監督の作品で、原作は2019年の制作。ユーチューブでは22年5月に公開され、2年余りで300万回以上も視聴されている人気作だ。
中心の物語は、若き教会ユースの担当教師夫妻が、聖書に無関心で反抗的な若者たちに、苦悩しながらも真剣に向き合うことで徐々に彼らの心を開き、信仰へと導いていく奮闘劇。その一方で、聖書の真理よりも信者の獲得や体裁を優先しがちな現代のキリスト教会に警鐘を鳴らすメッセージもところどころに込められている。
タイトルの「笛を吹け」は、新約聖書のマタイによる福音書11章16~17節から。福音を伝えるイエスの声にも、悔い改めを叫ぶ洗礼者ヨハネの声にも応じなかった当時の時代について、イエスが「笛を吹いたのに、踊ってくれなかった。葬式の歌をうたったのに、悲しんでくれなかった」と語る場面だ。
作品では、冒頭にこの聖句が示されるとともに、重要な場面で教会ユースの担当教師がこの聖句を用いて、若者たちに真剣に語りかける。
クリスチャン映画館は、「笛を吹け」を「リッチ・クリスティアーノ監督制作の傑作の一つ」だとして、次のように紹介している。
「この映画は短時間で多くの問題が展開し、その一つ一つにクリスティアーノ監督は丁寧に聖書的回答を示しています。そのひも付けは見事で、一度見ただけで全てのつながりを理解するのは困難なほど巧みに場面が散りばめられており、スルメイカのようにかめばかむほど味が出る類の映画です」
日本語字幕を制作したのは、クリスチャン映画館を運営する堀江正さん。ワーナー・ブラザースで46年間にわたって働き、2千本を超える映画の字幕制作に携わってきた小川政弘さんが監修している。
カナダでデザイナーとして活躍する堀江さんはこの他、米キリスト教テレビドラマ「七番街シアター」の日本語字幕制作も行っている。また、英語圏の牧師によるメッセージをアニメで紹介する「聖書なおっさん」の制作や、無料で利用可能なキリスト教イラスト集サイト「クリスチャン・クリップアート」(英語)の運営なども行っている。
クリスチャン映画館は、数多くあるクリスチャン映画の中から聖書に忠実な作品を厳選して日本語字幕を制作しており、「笛を吹け」は6番目の作品。いずれも全て無料で視聴できる。