米キリスト教テレビドラマ「七番街シアター」(原題:7th Street Theater)の日本語字幕制作が始まり、このほど最初の数話がインターネット上で視聴可能となった。米キリスト教テレビネットワーク「トリニティー・ブロードキャスティング・ネットワーク」(TBN)で、2007年から13年まで、3シーズン計64話にわたり放送されたドラマで、北米でもこれだけキリスト教に特化したテレビドラマは珍しいという。日本語字幕を手がけるカナダ在住のクリスチャンデザイナー・堀江正(まさる)さんは、「この世の流れと信仰者としての信念の狭間で奮闘する登場人物たちの活躍をぜひ見ていただきたいです」と話している。
物語の舞台は、クリスチャンのウィラー氏に買い取られたニューヨークの七番街にある小さな劇場。劇場では、5人の劇団員によって毎週上演が行われているが、収益よりも福音を伝えることに重点を置いているため、予算はいつもギリギリだ。
ドラマでは、福音のメッセージを伝える寸劇にとどまらず、劇団員たちの生活のさまざまな場面も描かれている。そこには、この世に流されず、時に過ちを犯しながらも、クリスチャンとして聖書の価値観に根ざして生きようと奮闘する一人一人の姿がある。
物語のほぼ全ての場面は、劇場の中で展開する。これは、「七番街シアター」自体の制作予算もまた厳しいものであったことを想像させる。しかし、そうした中でも制作スタッフの素晴らしい知恵と工夫で、6年間3シーズンにもわたって放送が継続したことは注目に値する。
堀江さんは、「見ていて驚くような派手なシーンはありません」と率直に話す。しかし、「クリスチャンが神の言葉に従うことで、この世から変わり者扱いされながらも、神の言葉を判断の基準とし、神を信じ生きていく姿は本当に励まされます。それはきっと、私たちクリスチャンは皆、同じ苦悩を経験しており、共感できるからでしょう」と言う。
監督はデイヴ・クリスティアーノ氏。双子の兄弟であるリッチ・クリスティアーノ氏も同じく監督をしており、2人はそれぞれ数多くのクリスチャン映画を制作している。その多くは素晴らしい作品だが、日本で配給された作品はまだない。日本においては、需要の低さからクリスチャン映画の配給は非常に困難とされている。そのため、北米で制作されるクリスチャン映画の多くは日本語で見ることができない。クリスティアーノ兄弟の映画はその典型的な例だという。
堀江さんは、マタイの福音書7章26節にあるイエスの言葉「わたしのこれらのことばを聞いて、それを行わない者はみな、砂の上に自分の家を建てた愚かな人にたとえることできます」を挙げながら、クリスチャンには聖書の言葉の実践が求められていると話す。
「クリスチャン映画の多くは、聖書の価値観で生きるクリスチャンと、世俗の価値観に支配されている社会との軋轢(あつれき)を描いています。『七番街シアター』は、まるでその教習ビデオのようです。各エピソードのテーマに対して聖書的な解決方法を求め、人生に聖書の御言葉を適応する姿は、私たちクリスチャンに聖書の価値観で生きるための大きなヒントや励ましとなります」
「七番街シアター」の日本語字幕制作は、堀江さんが監督のデイヴ・クリスティアーノ氏から許諾を受け、ボランティアで行っている。5月末までに、シーズン1の第6話まで完成している。このうち第3話までは、ワーナー・ブラザースで46年間にわたって働き、2千本を超える映画の字幕制作に携わってきたクリスチャンの小川政弘さんが監修している。
クリスティアーノ兄弟が運営するユーチューブチャンネル「クリスチャンムービー」(英語)には、日本語字幕が付けられていないキリスト教ドラマや映画が、他にもまだ数多く掲載されている。堀江さんは、「七番街シアター」の日本語字幕制作の他にも、さらに多くのキリスト教ドラマや映画を日本に紹介したいとし、今後も祈りながら、字幕制作を継続していくと話している。
日本語字幕を表示可能な各エピソードは、「七番街シアター」の日本語公式サイトにまとめられている。いずれも無料で視聴可能。日本語公式サイトには、日本語字幕の表示方法の説明もある。
堀江さんはこの他、英語圏の牧師によるメッセージをアニメで紹介する「聖書なおっさん」の制作や、聖書に忠実な映画を厳選し紹介する「クリスチャン映画館」の日本語字幕制作、無料で利用可能なキリスト教イラスト集サイト「クリスチャン・クリップアート」(英語)の運営などを行っている。これらは全て堀江さんがボランティアで行っているものだが、働きの継続のために祈りと寄付によるサポートも呼びかけている。寄付は専用ページ(英語)で受け付けている。
■ ドラマ「七番街シアター」シーズン1第1話「コマーシャル」
※ 日本語字幕の表示方法はこちら。