教会学校や子どもの伝道用に、躍動感あるイラストやアニメーションなどの素材を無料で提供する「Christian Cliparts」と、イラストと共に聖書を楽しみながら読める「Fun with the Bible」という2つのウェブサイトがある。いずれも、カナダ・バンクーバー在住のデザイナー、堀江正(まさる)さんが、“自分に与えられた賜物で神様を賛美したい”という思いで立ち上げた。英語のサイトであるため、世界中の教会・クリスチャンが利用しているという。
デザイナー歴26年という堀江さんは、本業はアニメやイラスト制作などを手掛ける「MMBOXプロダクション」(所在地:バンクーバー)の社長。聖書に登場するさまざまな物語のシーンや人物のイラストを提供する「Christian Clipatrs」を2006年に立ち上げ、家族で楽しく聖書を学べる「Fun with the Bible」を14年から始めた。「Fun with the Bible」を始めたのは、聖書の御言葉をもっと直接的に伝えたいという思いから。キリスト教の絵本を描くのが夢だったという堀江さんは、さらに13年からは米国ルーテル教会のルーテル・アワー・ミニストリーズから依頼を受け、キリスト教絵本の制作も行っている。現在4冊目の絵本を制作中で、絵本は全米に6000余りあるルーテル教会で子どもの伝道用に用いられているという。
「Christian Cliparts」では、印刷用のデータ以外は、クリップアート、塗り絵、アニメーション、ゲームなどが全て無料で配布されている。印刷したポスターなども、希望する教会には国・地域に関係なく無料で送っており、インドネシアやフィリピンといった東南アジア諸国、また米国の貧困地区など、予算の少ない教会で特に喜ばれているという。
一方、「Fun with the Bible」は、聖書の内容を子どもたちに楽しく伝え、子どもたちと聖書の距離を近づけることが目標だという。必要な御言葉をすぐ取り出せるようにし、ディボーション用のアニメも飽きないよう、時間を3分以内にしている。親しみのあるキャラクターが御言葉を的確に伝えるように工夫しているという。通読を励ますバイブルマップや聖書の登場人物を覚えるためのカードゲームなど、内容は盛りだくさん。現在、「Christian Clipartas」と共にこのプロジェクトもサポーターを募集中だ。
本業のアニメ、イラストの制作、また絵本の制作に加えて、本格的なウェブサイトを2つも運営するのは大変なはず。難しさはないのか尋ねると、「これまで大変だと感じたことはありません。主の御心であれば継続させてくださいと祈り、約10年間継続できましたので、これは主の御心であると確信しています。今後、試練はあるかもしれませんが、主の御心のままに、と委ねています」と答え、プレッシャーも気負いもなさそうな様子。
しかし、全力でイエスのために自分の才能と時間をささげる堀江さんにも、“生ぬるいクリスチャン”だった時期があるという。母がクリスチャンだったという堀江さんは、小さい頃から聖書についての理解はあった。結婚前に洗礼も受けていたが、キリストの救い、恵みについて、頭だけの理解で止まっており、「キリストが人生の中心に座しているとは言えない状況で長い時間を過ごしました」と言う。しかしある時、仕事が危機的な状況に陥り、不安感から夜も眠れない日が続いた。そんな時にわらにもすがるような思いで、「何よりもまず、神の国と神の義を求めなさい。そうすれば、これらのものはみな加えて与えられる」と書かれたマタイによる福音書6章33節を信じて祈ると、数日のうちに驚くような平安が心に満ち、「もう大丈夫」という確信を持つことができたという。
「すると次に自分の信仰を実践したくなったのです」。聖書には神を試してはいけないとあるが、一箇所だけ「試してみよ」という箇所がある。十一献金(収入の10分の1を献金すること)をすれば本当に神が祝福するかどうか試してみよ、というマラキ書3章10節だ。堀江さんは、今までしてこなかった十一献金を始めることを決めた。すると献金をスタートする直前に、過去最大の契約が舞い込んできた。「これには驚きました。まさに神の後押しだったのです。聖書の御言葉は真実で、それ以降、不安で眠れないような夜は一夜もありません。以来私の人生の中心にはイエス・キリストが君臨しています」と話す。
今後の抱負について聞くと、「カナダ在住ですが、来るべき日本のリバイバルに少しでも助力になれればという思いがあり、今後はもっと日本語で展開していきたいです。今は世界中で利用されやすい理由から英語で展開していますが、子ども伝道の教材は英語圏では豊富にあるのに対し、日本では非常に少ないので、何とか日本語での制作・配布の時間を作りたいです」と語ってくれた。