未就学の幼児でも聖書の物語を楽しみながら体験できる絵本『よくみてさがそう せいしょえほん』が1日、日本聖書協会から刊行された。絵は、子ども向けの本500冊以上でイラストを手掛けてきた英国の女性イラストレーター、ギル・ガイルさんが描いており、細密に描かれた絵は大人でも見応え十分。巻末には、各ページのストーリーについて、分かりかりやすい説明も掲載されている。
同協会によると、海外の絵本は絵が独特で、これまで日本の子どもにはあまりなじまなかったが、最近では抵抗なく受け入れられるようになってきているという。今回刊行された絵本も、コラージュされたブルーが印象的な表紙で、思わず手に取ってみたくなる。
大判の24ページ立てで、聖書の代表的なストーリーとして、「せかいの はじまり」(創世記1〜3章)から「ふっかつして てんに のぼる イエスさま」(マルコ16、ヨハネ20、使徒1)まで、10の物語が収録されている。各ページには、それぞれの物語に関係する人や動物などが色鮮やかに細かく散りばめられ、枠外に描かれた絵と同じものを探すという、実際に子どもが体験できる仕組みになっている。
巻末の各ストーリーについての説明は、新共同訳聖書に準拠。欧米の絵本は、読み聞かせる大人が、すでに聖書の内容を知っていることが前提となって作られていることから、こういった説明は必要がない。しかし、有名な聖書のシーンをテーマに抜き出してはいるものの、欧米に比べまだ聖書になじみが薄い日本では、こうした各シーンの説明を掲載するといった配慮が必要になるという。
同協会は、「この絵本で、聖書の時代にタイムスリップした気持ちになってもらい、生き生きした聖書の世界に親しんでもらうことができれば」「文字が身についていないうちから聖書の世界に親しんでもらいたい」などと話している。
また同協会は、幅広い年代に聖書の御言葉を届けることを使命としているが、まだ十分には行き届いていない現状があるといい、今回の『よくみてさがそう せいしょえほん』は、「よいタイミングに出版できた」と考えているという。
なお、同協会ではこれまで、文字がすでに読める子どもを対象に、月に1巻のペースで『みんなの聖書・絵本シリーズ』を刊行してきた。3年かけて全36巻が完成し、旧・新約聖書の全ストーリーが、分かりやすい言葉で色彩豊かに描かれ、聖書の世界が実感できる絵本に仕上がっている。こちらも併せて読んでほしい。
『よくみてさがそう せいしょえほん』(税抜1400円)は、同協会のオンラインショップやアマゾンなどで購入できるほか、全国のキリスト教書店、一般大型書店で購入できる。問い合わせは、日本聖書協会(電話:03・3567・1987、月~金午前9時~午後5時)まで。