青山学院大学法学部教授で、大学宗教主任も務める塩谷直也牧師の絵本『ひとりぼっちのオルガン』が、1月下旬に刊行された。
「自分中心の生き方が一番つらかった」と、クリスチャンになった経緯を語る塩谷氏。牧師となってからは自殺予防に関心を注いできた。「どうにかして自分中心の生き方からの解放を伝えたいと思ったとき、『オルガンを破壊するのではなく、オルガニストを変える』というポール・トゥルニエの言葉を読んで、これを教会や学校で話そうと思いました」と語る。
塩谷氏はマンガや人形劇など、さまざまなツールを使って聖書の内容を伝えることを追求してきた。今回のストーリーの主人公はオルガン。これまでとは違った内容であったため、まずストーリーを言葉だけで伝えたところ、意外なことに子どもたちから反響があったという。「牧師になった理由も、教壇に立つようになった理由も、若い頃、『もっとシンプルに福音を受け取ってもらいたい』と思ったことが動機だったので、これはもう少し練ってビジュアル的なもので伝えるべきでは?」と考え、この内容を絵本にすることを計画したという。
イラストレーターのイタクラヨウイチさんについては、「彼の絵は僕の考えていた世界観とは全く違う、独特の世界観だった。でも自分の良いと思った物が、受け入れられるものではない。だから僕にないチャンネルを使える人に頼もうと決めた」と話す。
絵本を出版してからの反応は、虐待を経験した子どもたちに関わるボランティアの人たちから反響が大きいそうだ。「クリスチャンでない人にも、『親は変えられないが、親に代わる人を見つけることで、虐待を受けた人もリセットして自分を取り戻す機会になる』というメッセージになりますし、クリスチャンだとこの物語の意味をダイレクトに受け取ってくれるように描写しました。自分を傷つける前に、やるべきことがあると伝えられれば」と、物語の核心を明かす。
また昨今、牧師が本を出すと宗教や哲学のコーナーに置かれてしまい、人々の目に触れる機会を逸してしまうとも話す。「どうにか人々の目に触れる機会の多いものを作りたいと考えました」と絵本にした動機を話す。その結果、某大手書店ではアートのコーナーに置かれ、すぐに完売したという。中には一部のオルガンファンからの問い合わせもあるなど、予想もしていなかったところから反響があった。
刊行を担当するメディカ出版の藤野美香さんは、画廊やカフェなどをターゲットにしており、「宗教抜きにして読んでいただきたいです。文章も日本語と英語のバイリンガルで国際化教育に用いてもらえますし、あるお店では児童書、ある書店ではアートなど、さまざまなチャンネルでの発信となっています」と語る。
塩谷氏も、「大学生になってからも、親子の関係で苦しむ人がたくさんいます。そんな人たちにも絶対的な人間なんかいないんだよと伝えられれば」と言う。
また、この絵本には仕掛けがある。スマートホンやタブレット端末に専用アプリをダウンロードし、そのアプリで「♪」マークのついた絵を読み込むことによって、そのページのアニメーションを見ることができる。まさに“現代の飛び出す絵本”と呼べるからくりが施されている。
「聖書の物語を単に発信するのではなく、“福音(神がもたらした最高のニュース)”をどのように伝えていくかという追求はこれからも続けて行きたい。それとともに、楽しいということを伝えたいのです。大学の授業も“義務”ならば卒業してしまう。でも、聖書は卒業するものではなく、これからも楽しく学び続けたいと思わせたい。だからエンターテイメント性も兼ね備え、誰にでも受け取ってもらえるように表現したい」と、今後のビジョンを語った。
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