1. 兵庫県知事パワハラ疑惑
2024年3月、斎藤元彦兵庫県知事によるパワハラなどの疑惑に関する告発文を県の元幹部が退職直前に報道機関、捜査機関などに匿名で送った。知事側は「事実無根の内容が多々含まれている」と批判したところ、4月、元幹部は県の公益通報制度を利用して内部通報を行った。その後、知事は元幹部を停職3カ月の懲戒処分とした。
県議会は事実関係を調査する必要があるとして、6月に地方自治法に基づく百条委員会を設置。元幹部は証人として出席を予定されていたが、その直前に自宅において遺体で見つかった。この事件は、知事のパワハラが原因で自殺に追い込まれたとしてマスメディアにより大きく取り上げられ、全国的な話題となった。その後、県議会議員全員による知事不信任決議がなされ、知事は自動失職し、改めて知事選挙が行われた。
このようにマスメディア、それに同調したSNS(ソーシャル・ネットワーク・システム)、県会議員、県職員などの猛烈な批判にさらされながら、再選を期した斎藤氏は無所属で選挙に臨み、たった一人でマイクを手にして駅前で選挙演説を始めた。誰が見ても同氏が当選する可能性はほとんどない。
ところが、選挙直前ごろから、パワハラなどの疑惑の事実が存在しないばかりか、本当は、斎藤氏が県民のために健全な政策を実行してきたことに反対する一部県会議員、県職員たちが結託して知事失職に追い込んだと思われる証拠が次々に明らかになり、それらがSNSで取り上げられていった。特に、それを知ったNHK党の立花隆志党首が知事選に立候補して斎藤氏の応援に回ったころから、同氏の支援者が爆増し、最後には組織票を持つ対立候補を破り、奇跡的に再選を果たした。
斎藤氏の選挙演説会には大勢の群衆が集まり、「ごめんなさい」「ごめんなさい」とマスメディアの偏向報道により斎藤氏を悪者だと思い込んでいたことを謝罪する県民たちが後を断たなかった。また真実を知ったインフルエンサーといわれる有名ユーチューバーたちも「斉藤さん、ごめんなさい」と謝罪し、「斉藤さん、頑張れ」と同氏の応援に回った。斎藤氏の知事復帰に感動して涙を流す人も大勢いた。ある高校生は、「政治がこんなに面白いと思わなかった。将来は政治家を目指したい」とも語っていた。
2. 信念の力
斎藤氏の選挙事務所には、「信念」と書かれた標語が飾られていた。百条委員会で厳しくつるし上げられ、連日マスメディアやSNSで徹底的にたたかれ、日本中に「悪徳知事」としてのレッテルを貼られたにもかかわらず、それに屈することなく勇気をもって自分の信念を貫いたことは称賛に値する。この騒動により、県政の闇が明るみに出されたと同時に、マスメディアが、一部の週刊誌を除き、公正に報道すべき使命をないがしろにし、真実を隠蔽(いんぺい)したり、事実を捻じ曲げたりして、偏向的な報道を繰り返す姿勢が明らかにされた。
斎藤氏はカトリック(ドミニコ会)の中高一貫の愛光学園で学び、6年間にわたり学生寮の寮長を務めたことから、指導者として訓練され、また、神を信じ殉教しても信仰を貫く強さに感化を受けたのではないか。今回の選挙では、キリストの十字架の死と復活を見る思いであった。
この選挙を通して、兵庫県民だけでなく、多くの国民の政治に対する関心が高まることを期待している。
隠されているもので、あらわにならないものはなく、秘密にされているもので、ついには知られ、明るみに出されないものはない。(ルカ8:17)
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