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クリスマス

【クリスマスメッセージ】私たちはクリスマスをどう捉えるべきか 行澤一人

2024年12月24日07時22分 執筆者 : 行澤一人
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(写真:Sync Design Solutions)

1. クリスマスの起源

われわれが現在、クリスマスとして祝っている12月25日は、イエス様の実際の誕生日ではなく、むしろそれは異教的な冬至祭を吸収したものであることは、今日、広く知られているところであります。

そもそも、12月25日がイエス様の誕生日であるということには無理があります。というのは、ルカの福音書2章8節は、ベツレヘムで「野宿」して羊の番をしていた羊飼いに御使いが現れ、約束の御子(イエス様)が今しもお生まれになったことを告げていますが、12月25日というのは真冬であって、羊飼いが野宿することはしないからです。

12月25日がクリスマス、つまりキリストの降誕祭とされるのは、実は4世紀のことです。その背景には、冬至の前後に農耕神サートゥルヌスを祝う古代ローマの祭り(サートゥルナーリア祭。謝肉祭的な放縦と快楽を特徴とし、日本の無礼講のようなことが行われた)が民衆の間に広く普及していたこと、また当時ローマで普及していたミトラ教(インド・ペルシャにルーツを持つ太陽神ミトラを礼拝する宗教)の信仰者らが冬至にミトラ神の再生を祝っていたことがあります。

さらに274年には、アウレリアヌス帝により、12月25日(当時はユリウス暦)はラテン神であるソル・インウィクトゥス(不敗の太陽神。兵士の神として信仰されていた)の誕生を祝う祭日として公式に定められていました(ミトラ教徒も、ソル・インウィクトゥス=ミトラとして、これを祝っていたようです)。

こうした状況を前提に、コンスタンティヌス帝によって新たにローマ帝国の宗教として容認されたキリスト教を、伝統的なローマの信仰・習俗と融和させようとして、12月25日がキリストの降誕祭として定着していった、と一般的にいわれています。

2. クリスマスの普及と弊害

このようにしてクリスマスは、ヨーロッパ大陸からアイルランド島、グレートブリテン島、スカンジナビア半島などに及ぶキリスト教圏に早い時期から広まっていきました。しかし、同時にかつての異教的習慣の残滓(ざんし)も随伴することになり、遅くとも中世には、クリスマスは謝肉祭的に祝われ、酒食と放縦が広範に見られたといわれています。それで特にピューリタン革命期の英国では、クリスマスにおけるあまりの放縦ぶりにクリスマス禁止令(1647年。1660年にはイングランド王チャールズ2世により撤回されている)が出されたほどでした。

こういった事情から、近年、キリスト教会の中には、特にクリスマスを祝わないというところも増えてきているようです(それはそれで立派な見識であると思います)。では、私たちはクリスマスをどのように捉えればよいのでしょうか。

3. 福音宣教の文脈化の視点から

私は、このことを考える際には、何よりも福音宣教の文脈化が重要な要素となると考えています。私たちの使命は、現代において罪にとらわれ、罪と死に人生を支配されている多くの人々に、いのちの福音を伝えることにあります。そのために、現代の人々が生きている世界=文脈を深く理解し、そこに確かないのちの希望を効果的に伝えるにはどうすればよいのかと考えたいのです。

そこで、12月25日がキリストの降誕祭となっていった経緯をもう一度振り返ってみましょう。それは、初めは冬至祭としての性格を持つ種々の異教的信仰・習俗をベースにしたものでした。そして、それは当時、特に閉塞感の漂うローマの奴隷や庶民にとっては、鬱屈(うっくつ)した気持ちを振り払い、エネルギーを爆発させ、大いに解放されるべき非日常的・祝祭的空間であり、また社会を再生させるための共同体的儀礼でもあったわけです。

このような非日常的・祝祭的空間が社会にとって必要なことは、およそ古今東西どのような文明においても認められることです。もちろん、その在り方は、私たちクリスチャンから見れば罪と肉の働く機会であり、当然忌避すべきものです。しかし、だからといって、人間本来が持つ共同体的生命の充実欲求そのものを否定することはできません。「祭り」は、人間が共同体生活(教会共同体も含む)を営むに当たっては必要不可欠なものなのです。

だから教会は、罪の要素を清め除き、本来異教的なシンボルであっても、これを主をあがめるものへと贖(あがな)い取って、その「祭り」をまことの神を礼拝する祝祭的空間へと転換しなければなりません。その意味で、当時のローマ帝国は、奴隷や庶民といった当時を生きる人々の世界に理解され、受容され得る(かつ福音を届けるための窓の開かれた)クリスマスという祝祭的空間をつくり出すことに成功したといえるのです。

4. あり得る問題点をわきまえて

ところで、このようにクリスマスを肯定し、あるいは文脈化を主軸に据える宣教論については、主に2つの点において懸念が生じるかもしれません。

第一は、クリスマスには、その異教的背景もあって、どうしても放縦と世俗化という結果が伴うことを避けられない点です。しかし、よく考えてみれば、その原因はひとえに罪深い人間の性質にこそあるのであって、クリスマス自体が責めを負うべき筋合いのものではありません。

クリスマスがなければ、罪人である人間は、かつての冬至祭のような別の放縦の機会――そこには福音への窓が開かれていない――を捉えるだけのことです。しかし教会が、聖なる祝祭的空間を世に開いてさえいれば、クリスマスという特別の機会に導かれる魂は、福音に触れることができるのです。

第二に、シンクレティズム(異なる信仰が混ざり合うこと)の危険を説く意見もあります。確かに例えば、「義の太陽」として提示されるキリストが、一般大衆レベルで「不滅の太陽神」と混淆(こんこう)され、キリストが異なる宗教体系において理解されてしまう(いわばキリストと太陽神が習合してしまう)危険はあり得ます。しかし、人がクリスマスを通じて正しくイエス様に出会い、さらに御霊に導かれていくならば、そのようなシンクレティズムが生じる恐れはないものと考えます。

問われるべきは、クリスマスを通じて導かれてくる魂を教会が正しく導けるかどうかにあります。そもそもシンクレティズムが生じてしまうことは、福音が異文化へと伝達されていく過程では避けて通れないものです。それでもわれわれは、公同の教会の交わりと、真理の御霊の働きに信頼することによって、異端的な逸脱を回避することができると考えます。

5. 最後に

クリスマスは日本の文化に定着し、また、日本の教会にとっても聖なる祝祭的空間として大きな喜びをもたらすものとなっています。

東方の博士たちのクリスマス物語(マタイ2:1~12)には、およそアブラハム契約の祝福においては異邦人であり、聖書では禁止されていた占星術(申命記18:10)をも行うペルシャ地方の天文博士(ギリシャ語で magos)らが、ユダヤ人には禁止されていたはずの占星術の枠組みにおいて、ユダヤ人の王、メシアの誕生とその救いを知ることができるように、万物の主である神が天体運動をもお用いになられたことが記されています。

実に、神はユダヤ人の神であり、また異邦人の神でもあるのです(ローマ3:29)。

全ての文化の中にある民を等しく愛し、われらをその文化の中で救い、その文化の中でひときわ輝く主の証人として御霊に満たして用い続けられる全能の神に、イエス・キリストによって、とこしえに栄光が帰せられますように。アーメン!

◇

行澤一人

行澤一人

(ゆきざわ・かずひと)

1964年広島県生まれ。88年神戸大学法学部卒業。同年日之出キリスト教会(現レハイム・キリスト教会)で受洗。2004年から同教会牧師。日本民族総福音化運動協議会理事(総裁代行)。

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