【CJC=東京】イラクやシリアで過激活動に走っているイスラム教団体「イスラム国」(ISIS)が12日発刊した英字WEB機関誌『DABIQ』(ダビク)第4号で、「奴隷制復活」と題された記事を掲載、イラクで拘束した少数派ヤジディー教徒の女性や子どもを奴隷として売買していることを認めた。女性の一部が結婚や性行為を強要されていることも事実上認め、イスラム教の男性が、奴隷ではない他の女性から「誘惑される」のを防ぐための正当な行為だ、と主張している。
イスラム国は8月、イラク北西部シンジャルを攻撃し、居住していたヤジディー教徒ら数千人が行方不明となっている。その際、ヤジディー教徒の女性や子どもを戦闘員に「戦利品」として分配したという。
毎日新聞は、避難民の証言として、拘束された男性の多くが処刑され、女性や子どもはイラク北部モスルやシリア北部ラッカなどに連行され、奴隷として売買されたと報じている。サウジアラビアなど外国も売却先になっているという。女性らは「奴隷市場」で10米ドル(約1000円)前後で売られ、性交渉を強要されているとの報道もあるとしている。
米メディア「ハフィントン・ポスト」は、英語で発行された同誌を、明らかに西欧諸国に住む人々に向けた内容であり、イラク国内でイスラム国が残酷な行為を働いているという、長くうわさされてきた行為を裏づけたとしている。また機関誌名の「ダビク」について、シリア北部にある都市の名前で、アルマゲドンに関する「ハディース」(預言者ムハンマドの言行録)に「イスラム教徒とキリスト教徒が最終的に対決する場所」として言及されていることを理由に採用したと報じている。
『DABIQ』はこの7月に、英語を含む各国語で創刊された。第4号の表紙は、バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ広場に立つオベリスクの上に、イスラム国の黒い旗がはためいているデザイン。同号には、モハメド・アドナニ広報官による「われわれはお前たちのローマを制圧し、十字架を壊し、お前たちの女を奴隷にする」という声明も掲載されている。