世界教会協議会(WCC)のオラフ・フィクセ・トゥヴェイト総幹事は、自称「イスラム国」(IS)の指導者であるアブ・バクル・アル・バグダディとその従者たちに宛てられた、イスラム教徒の学者ら126人のグループによる公開書簡が発表されたことを歓迎した。WCCが1日、公式サイトで伝えた。
この書簡は、9月24日に発表されたもので、イスラム教の宗教的視点からISの行為を非難している。
「権威あるイスラム教を代表しているとするISの主張に対する、この細かくて詳しい学術的な反駁が、この書簡によって提示されている。それは、あらゆる諸宗教の人々が尊厳をもって共に生き、私たちの共通の人間性を尊重することができるようにしようとする、イスラム教の指導者たちにとって重要な資料となるであろう」と、トゥヴェイト総幹事は語った。
トゥヴェイト総幹事はまた、「私は現在、とりわけ中東や他の大陸におけるキリスト教共同体の安全と隆盛を心配している。この書簡は、私たちが共に民衆そして指導者たちとして自らの信仰の視点から、われわれ人類に対する脅威をどう処理するのかへの重要な貢献だ」と述べた。
「私たちは、この書簡の署名者を含む、鍵となるイスラム教徒の友人たちや協力者たちとの協働を続けること、そして中東や世界の他の地域で平和と正義のために彼らと共に働くことを、楽しみにしている」と、トゥヴェイト総幹事は結んだ。
この書簡は、英語とドイツ語およびアラビア語で書かれている。英語版は、17ページに及ぶ本文と、ナイジェリア北部ソコトのスルタン(君主)でありイスラム問題に関するナイジェリア国家最高評議会の最高責任者であるムハンマド・サアド・アブバカル氏をはじめとする126人の署名者の一覧表からなる。英語版の冒頭要約部分には、「イスラム教においては、キリスト教徒やいかなる『経典の民』をも、いかなる形であっても、傷つけたり虐待することは、禁じられている」などとする24の項目が箇条書きされている。
結論の中では、アブ・バクル・アル・バグダディらに対し、「イスラム教は憐れみである」のに、「あなた方はイスラム教を無情さと残忍さと拷問と殺人の宗教であると誤って解釈してしまった。説明した通り、これは大きな誤りであり、イスラム教やイスラム教徒、そして全世界に対する侮辱である」「あなた方の全ての行為を考え直しなさい。それらを思いとどまりなさい。それらを悔い改めなさい。他者を傷つけるのはやめて、憐れみの宗教へと戻りなさい」などと述べられている。