米カリフォルニア州サクラメント市のメガチャーチ、キャピタル・クリスチャン・センターのリック・コール牧師が、最長2週間にわたって、心地よい自宅を離れ、ダウンタウンの路上で生活すると宣言した。冬の間、この地域のホームレスに食べ物と宿を提供するというプログラム「ウィンター・サンクチュアリ」の資金10万ドル(約1090万円)を集めるためだ。
「明日、ライトレールでダウンタウンに向います。今日、ライトレールの定期券を買いました。人生で一度もライトレールに乗ったことがなく、試してみようと思ったこともないのですが、この先2週間はこれが交通手段になります。ともかくまずやってみます。やってみて、皆さんに報告します」と、コール牧師は9月27日、教会の説教で説明した。
「神様は私にこうするように望んでおられると信じているから、共に実行するのです」とコール牧師。「神様の力で私たちの街を変えてくださるように祈りましょう。このアイディアは最近、ここ2、3週間足らずの間に考えたことですが、興奮して一気に勢いがついてしまいました。私の妻も徐々に賛成してくれました。このアイディアが生まれたこと自体奇跡ですし、神様は本当にこのプロジェクトを私たちにお望みなのだと思います。このことで社会にインパクトを与えたり、色々なことができると思うとワクワクします」と話す。
地元のサクラメント・ビー紙が伝えたところによれば、ウィンター・サンクチュアリは、コール牧師が代表を務めるNPO団体「サクラメント・ステップス・フォワード」が主催するプログラムだ。
「最終的な目標は、苦しんでいる人々を助けることです。それは神様が私たちに教えていらっしゃることです。彼らのところに行って、変化を起こすこと。世の中で一番小さい者のためにすることは私に対してするのと同じことだ、とイエス様自身がおっしゃいました。イエス様に近づきたいと思うなら、苦しんでいる人たちに近づくことです。イエス様の名前によって彼らを助けるなら、最も深いところでイエス様に近づいたことになるのです」と、コール牧師は説教で語った。
ウィンター・サンクチュアリの資金集めキャンペーン用サイトによれば、キャンペーンの最終目標は30万ドル(約3270万円)。9月29日朝の時点ですでに1万ドル(約109万円)の寄付が集まっている。
コール牧師は、サクラメント・ビー紙に対し、できるだけ早く路上生活を引き上げられるよう、彼のウェブサイトで寄付をしてほしいと話している。
コール牧師はホームレスのように生活すると宣言しているが、実際は路上で無防備のままひとりぼっちという状態ではない。
サクラメント市のケビン・ジョンソン市長も、一緒に路上生活をするようにコール牧師から誘いを受けているが、市長はまだこの要請に応じてはいない。一方、ロックバンド「パパ・ローチ」のメインボーカルで、コール牧師が牧会する教会の4千人の信徒の1人でもあるジャコビー・シャディックス氏は、当分コール牧師と共に路上生活をする予定だ。
また、元警察官で、ウィンター・サンクチュアリにも関わっているトム・プラティナさんが、コール牧師の護衛を務めることになっている。
かつてホームレスだったことのあるクリフ・ハンフリーズさんは、コール牧師の計画は「ちょっと無茶」だが、「もし神様のご意向であるなら、うまくいくだろう」と、サクラメント・ビー紙に語っている。
「聖霊と天使が守ってくださると信じます」とハンフリーズさん。「何か得られることがあるでしょう。それは間違いありません」と言う。
9月29日の朝には、ホームレスとして過ごした最初の夜についての報告ビデオが、教会のフェイスブックに掲載された。その中でコール牧師は、ユニオン・ゴスペル・ミッションで約50人のホームレスと一つの部屋を分かち合ったが、あまりよく眠れなかったと語っている。
「夜中、おそらく2時半頃ですが、私は目が覚めて、朝かなと思ったのですが、残念ながら違いました。その後はほとんど眠りにつけませんでした。色んなことが頭をめぐってしまって」と、コール牧師は語った。