【CJC=東京】聖地巡礼のため、ガリラヤ地方にリゾート施設を作ろうとしたカトリック教会(修道会「キリスト軍団」)のフアン・M・ソラナ神父が、その昔、マグダラのマリアの故郷とされているミグダルで、シナゴーグ(会堂)跡に行き当たった。イスラエル考古局の専門家は、聖書でイエスが教えられたシナゴーグの可能性がある、と判断した。米紙ニューヨーク・タイムズ(国際版)が報じた。
事の発端は、2004年のこと。ソラナ神父は、教皇庁立ノートルダム研究所エルサレム・センターの責任者として、巡礼のための宿泊や会合場所を提供していたが、同様の施設を、イエスが宣教し、また奇跡も行われたイスラエル北部のガリラヤ地方に建設しようと思い立った。
建設前に遺物があるか、発掘することになっているが、考古局も最初は発掘はすぐに終わると見ていたようだ。ところが発掘を始めてすぐに石製の椅子が出土、1世紀のシナゴーグのものであることが分かった。第二神殿時代(紀元前516年〜紀元70年)のものとされているものは僅か数例で、ガリラヤ地方では初めての発見だ。紀元29年のコインも出てきたが、こうなるとまさにイエスが活動していた当時のものとなる。
マタイによる福音書(4章23節)に「イエスはガリラヤ中を回って、諸会堂で教え、御国の福音を宣べ伝え、また、民衆のありとあらゆる病気や患いをいやされた」と記されている。発掘場所は、イエスの活動の中心地だったカペナウムにも近い。またマグダラに近いのではなく、そこがマグダラだったことも明らかになった。
発掘は続けられ、古代の市場跡も見つかった。シナゴーグ跡は、建造予定のホテル入り口の手前に計画されていたエキュメニカル(超教派)な礼拝堂の場所にあった。
現場は「マグダラ考古パーク」として、隣接の霊性センターと共に奉献される。