昨年10月に北朝鮮で身柄を拘束されていた韓国人宣教師のキム・ジョンウク氏が27日、首都・平壌で記者会見を開いた。記者会見には、平壌に滞在していたAP通信記者ら海外のメディアも集められ、出席者は計100人を越えたという。共同通信などが伝えた。
会見でキム氏は、昨年北朝鮮に入国した翌日の10月8日に逮捕されたと明かした。また、韓国の情報機関から現金をもらい、金正恩政権を崩壊させることを目的に北朝鮮に地下教会を作ろうとしたなどと話し、謝罪した。
北朝鮮は昨年11月、韓国のスパイを逮捕したと発表しただけで、逮捕した人物の名前を発表してこなかった。また、韓国政府からの身元照会にも応じなかった。そのため、複数のメディアは「キム・ジョンウクと名乗る男性」などと、身元がはっきりと確認されていないかたちで伝えている。
一方、北朝鮮はこれまで、拘束した外国人を解放する前には公開謝罪をとるケースが多い。2009年に拘束された韓国系米国人ロバート・パク氏、2013年に北朝鮮でのツアー中に拘束された米国人メリル・ニューマン氏などがその例だ。
そのため、韓国の朝鮮日報は、東国大学北韓学科の高有煥(コ・ユファン)教授の話として、「南北関係改善の雰囲気が形成された中で、キム氏解放を前提に情報を公開した可能性が大きい」とする分析を伝えている。
一方で、キム氏の解放をカードに韓国に揺さぶりをかけてくることも考えられている。