韓国で公開中の映画『神が送った人』が、北朝鮮の「地下教会」の実態と、キリスト教徒へのすさまじい迫害を描いていると話題を呼んでいる。政治的な思惑などからか、この映画を批判する動きもある。
映画は脱北者たちの証言をもとに制作された。北朝鮮政権による弾圧の下、信教の自由のない咸鏡北道のある村の住民たちの残酷な現実を描いている。
今月13日から221の映画館で上映が開始されたが、話題の広まりを踏まえて、19日には上映館数が285に増やされた。23日までの観客動員数は27万人を超え、チケット売り上げは7位に浮上した。
公開に先立ち、マスコミ向け試写会で会見した監督のキム・ジンム氏は「実話に基づいている」と強調し、「どこまでが実話なのかと聞かれることが多い。1年をかけて脱北者と脱北者団体などに調査した。実態は映画の内容より深刻だ」と語る。
映画を観た脱北者の女性は、「映画はやや刺激的で、誇張された面もありますが、北朝鮮で実際に起きていること。人権問題の深刻さを理解して、北朝鮮の人々を支援する活動に関心を持ち続けてほしい」とコメントしている。
一方、制作会社のテプンコリアは、「映画に対する組織的な“評価テロ”が悪意を持って行われている」と表明した。チケットの前売り率1位を記録するなど『神が送った人』への観客の関心が高まる中で、ポータルサイトの映画評価欄に理由もなく最低点を付ける “評価テロ”が行われているという。「これは映画のクオリティとは関係なく行われている暴力です。評価を引き下ろす目的で、組織的な動きが把握できる」とした。
制作会社の関係者は、「映画は映画として観てほしい。『神が送った人』は、特定の宗教団体はもちろん、特定の政治団体とも関係がない。この映画は、北朝鮮に実在する地下教会の姿をリアルに描いた作品で、人々の深刻な実情を知ってもらおうという意図で制作された」と訴えている。
映画『神が送った人』の日本公開については未定。