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使徒の働き味読・身読の手引き

使徒の働き味読・身読の手引き(32) 宮村武夫牧師

2013年10月29日05時57分 コラムニスト : 宮村武夫
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宮村武夫牧師+

アンテオケ教会に学ぶ(Ⅱ)
使徒の働き11章27節~30節

[1]序

今回もアンテオケ教会から学んで行きます。

前回は25節と26節を中心にアンテオケ教会がサウロを招く次第を見ました。今回は27節から30節を中心に、アンテオケ教会が大ききんに苦しむエルサレルム教会に救援物質を送ることを決め、決定を実行する経過に注意を払います。教会の組織運営などについて、そのあるべき姿を学びたいのです。

[2]「決め」-決定に至る段階-

29節に、「弟子たちは、それぞれの力に応じて、ユダヤに住んでいる兄弟たちに救援の物を送ることに決めた」とあります。教会が一つの事柄を決定する経過を幾つかの点に絞り見たいのです。

(1)教会相互の交わり
第一に注意したいことは、アンテオケ教会が孤立した存在ではなかった事実です。27節に「預言者たちがエルサレムからアンテオケに下って来た」とあります。バルナバの派遣ばかりでなく、エルサレム教会とアンテオケ教会の間には、さまざまの面で親しい交わりがあった事実を示しています。

アンテオケ教会の人々は、エルサレム教会の人々を「ユダヤに住んでいる兄弟たち」(29節)と理解していました。確かにエルサレムとアンテオケとは地理的に離れています。しかし両教会の間に横たわる距離は、両者の親しい兄弟としての意識を妨げてはいないのです。アンテオケ教会のように健全な決定をなすためには、各地に建てられる教会は地域に根差し、同時に地域を越えた教会の交わりに生きる必要があります。自分の殻に閉じこもり孤立するなら、適確な判断、まして決定をなすのは困難です。

(2)正確な情報
29節に見る決定をなす前に、アンテオケ教会の人々は、前もってアガボの預言を聞きそれなりの備えをなしていました。エルサレム教会が大ききんに直面したとき、正確な情報を受け取ることができたのです。

(3)決定機関と個人
エルサレムの窮乏をアンテオケ教会が知ったとき、「弟子たちは、それぞれの力に応じて、ユダヤに住んでいる兄弟たちに救援の物を送ることに決めた」のです。この場合、二つの点を特に注意したいのです。

1. 「それぞれの力に応じて」
アンテオケ教会の一人一人がエルサレム教会援助のため心から参加したのです。自分の力の限界を正直に認めながら、なお他の人々のため配慮がなされました。

2. 決定機関
「それぞれの力に応じて」と各自の自発性が重んじられています。

同時に他の面も無視できません。それは、「決めた」の重みです。アンテオケ教会として公的に決定をなしたのです。各個人を重んじると言って、単に一人一人に委ねるだけではないのです。教会全体として正式に大ききんについて取り上げ、責任ある決定をなしたのです。

ですから決定をする決定機関があったことは確かです。決定する方法は、

A) 教会の全員が集まり、伝えられた情報を吟味し決定したのか。
B) または選ばれた代表が全体を代表して集まり、情報を検討し、主なる神の御前に責任をもって決定し、その後教会全体の同意を受けたのか。

いずれかであったと推察されます。

[3]「実行し」

アンテオケ教会は、決定したことを「実行し」たのです。それぞれの力に応じて集めたものを、バルナバとサウロの手に委ねエルサレム教会に届けたのです。それぞれが力に応じて分を果たし、選ばれた人々(執行機関を構成する人々)が委ねられた役割を果たして行きました。

さらに30節には、「長老たち」とあります。エルサレム教会の責任ある人々が、教会に立てられた組織を通じて教会員各自の必要を満たしたのです。

[4]結び

アンテオケ教会の実例から、私たちも教会の実際的な歩みについて教えられます。姉妹教会との交わり、または所属教団の中での歩みを感謝しつつ、単立教会主義などと言って孤立することなく進みたいのです。

◇

宮村武夫(みやむら・たけお)

1939年東京生まれ。日本クリスチャン・カレッジ、ゴードン神学院、ハーバード大学(新約聖書学)、上智大学神学部修了(組織神学)。現在、日本センド派遣会総主事。

主な著訳書に、編著『存在の喜び―もみの木の十年』真文舎、『申命記 新聖書講解シリーズ旧約4』、『コリント人への手紙 第一 新聖書注解 新約2』、『テサロニケ人への手紙 第一、二 新聖書注解 新約3』、『ガラテヤ人への手紙 新実用聖書注解』以上いのちのことば社、F・F・ブルース『ヘブル人への手紙』聖書図書刊行会、他。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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