ききんに苦しむソマリア首都モガディシオ近郊で、17歳の青年クリスチャンがイスラム過激派アル・シャバブにより断首される事件が先月発生していたことが現地ジャーナリストのコンパスへの報告により明らかになった。23日米クリスチャンポスト(CP)が報じた。
イスラム過激派武装組織でソマリア南部の武装勢力として圧制を行っていたアル・シャバブは、ソマリア国内からキリスト教徒を追い出すことを誓っており、モガディシオから20キロメートル離れた町で9月25日にクリスチャンの青年グレド・ジャマ・ムクタルさん(17)を殺害したという。ムクタルさん一家は2008年にケニアからソマリアに移住し、それ以来アル・シャバブは同家族を継続的に監視してきたという。
情報筋によると、これまでソマリア暫定連邦政府と対立関係にあるアル・シャバブは、ソマリア国内に在住するクリスチャンの家庭を継続的に監視する活動を行ってきたという。今回の事件報告を行ったジャーナリストは、「私は個人的に彼の家庭がクリスチャンの家庭であり、自宅で秘密裏に聖書を読む会を開いていたことを知っていました」と伝えている。
断首された青年の両親および近所の人々の話によると、アル・シャバブのメンバーらは同日午前6時にムクタルさんの家に到着し、両親が近所の小売店に働きに出かけた後、ムクタルさんが学校へ行く支度をしている最中に断首の犯行に及んだという。情報筋によると「近所の人たちはムクタルさんの自宅から叫び声を聞きましたが、叫び声は瞬時に止んだようです。しばらくしてから、白い車がムクタルさんの自宅から去るのが見えたそうです」という。その様子を目撃した近所の人たちが、ムクタルさんの両親に連絡、両親は小売店からすぐに自宅に帰宅し、両親も過激派によって殺されることを恐れて息子の遺体をすぐに埋葬したという。その後両親は別の場所へ避難したという。情報筋によると「事件が生じた時、両親は私に『息子が殺されたから私たちの命も同様に狙われている』と伝えました。それ以来息子さんの両親とは連絡がとれていません」という。
さらにソマリア南西部にあるフドゥール市郊外では、イスラム教からキリスト教に改宗し、誘拐されたクリスチャンのジュマ・ヌラディン・カミルさんが9月2日に同様に断首された状態で発見された。カミルさんは8月21日にアル・シャバブのメンバーら3人によって無理やり車の中に入れられ誘拐されたまま行方不明になっていたという。その後徹底的な捜索活動が行われた結果、9月2日午後2時に路上に放置されているカミルさんの遺体が発見されたという。
アルカイダともつながりがあるイスラム武装勢力アル・シャバブはモガディシオから400キロメートルの地域を実質支配している。カミルさんの遺体を発見したソマリアの地下教会で牧会を引導しているクリスチャンによると、遺体にはアル・シャバブによる印がつけられていたという。同クリスチャンは、「アル・シャバブにとってキリスト教の信仰を持っている、および西欧的な価値観に同意しているとの疑いがかけられた人の首を切るのは普通の犯行です」と述べているという。
アル・シャバブのメンバーは3,000人から7,000人程度であると推定されており、イスラム教のシャリア法を厳しく適用しようとしているといわれている。今月に入って13日にはソマリア難民キャンプの支援活動を行っていた二人のスペイン人の支援活動家らが誘拐され、16日にはケニアの観光地で外国人観光客が誘拐、殺害される事件が生じている。ケニア放送は22日、ケニア軍がソマリア南部のアル・シャバブ武装組織メンバーを100人以上殺害したと報じている。
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