英国国教会(聖公会)が、重度の障害がある新生児について、場合によっては安楽死を認めるべきとの立場を表明した。
同教会の指導者たちは、英・ナフィールド生命倫理委員会の報告書(2004年)に応答するかたちで、生命保護の前提を覆すことに十分な理由が伴う場合や、キリスト教の観点から同情的な状況であるとみなされる場合に限り、新生児の安楽死を認めるべきとの認識を発表した。未熟児や障害児のための養育費や医療費、保護責任を考慮するべきだとしている。
同教会のトム・バトラー・サウスワーク主教は、「生命維持に治療が不可欠とされるケースでは、治療を中断する権利も常に念頭に置くべき」としている。生命の尊さを認識する一方、安楽死を認めざるを得ない状況があることも知るべきだ、と語った。
声明は安楽死を検討するべき事例を説明している。 シャルロット・ワイオットちゃん(3)は6カ月の早産で生まれたことが原因で脳と肺機能に重度の障害を負い、現在も人工呼吸器などの機材を手放すことができない。担当医らは、シャルロットちゃんが苦痛と制限の中で余生を送ることはいたたまれないと、シャルロットちゃんの安楽死の権利を求める裁判を起こしたことがあった。
英国ではこのほかにも王立産婦人科大学が新生児の安楽死の法整備に向けて公開議論を開始するべきと提案し、遺伝学や医療倫理学関係者らがこれに賛成している。