カナダ連邦最高裁判所は6日、医師の手助けによる安楽死を限定的に認める判決を出した。共同通信が報じた。訴訟は、2009年に筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断された女性が起こしたもので、その女性は12年に亡くなっているが、別の難病にかかり、スイスで安楽死をした女性の遺族が原告として加わっていた。2人とも神経が侵され、治療法がなく、耐え難い苦痛を強いられる病だったという。
最高裁は、自ら判断できる成人が自らの命を絶つことに明確に合意し、重大で治療の見込みがない疾患があり、耐えがたい苦痛を受けている場合、安楽死の選択を認めないことは個人の自由を侵害すると判断した。1993年の安楽死の是非をめぐる審理では、最高裁は、医師による自殺ほう助を違憲とする判決を下していたが、今回の判決では、医師による自殺ほう助を禁止する法律を違憲とし、連邦と各州の政府に対して1年以内の法制化を命じた。9人の判事が一致して、選択する権利を認めたという。
医師が致死量の薬剤を処方し、患者自身が服用するという一定の条件下での安楽死は、スイスなどの欧州4カ国、オレゴン州などの米国の一部の州で合法となっているが、宗教団体などから批判も強い。
これまでも、安楽死を目的とした外国人スイス渡航者の増加や、昨年11月、余命の短い脳腫瘍の当時29歳の女性、ブリタニー・メイナードさんが、「尊厳死」を求める運動を起こし、オレゴン州で自ら死を選択したニュースなどが関心を集めてきた。今回のカナダでの大きな変化が、「死ぬ権利」をめぐる議論をさらに加速させそうだ。