【CJC=東京】世界教会協議会(WCC)のオラフ・フィクセ=トゥヴェイト総幹事は6月27日から30日までロシアを初訪問した。同総幹事は28日、モスクワでロシア正教会の最高指導者、モスクワと全ロシアのキリル総主教と会談した。
トゥヴェイト総幹事は訪問最終日の30日、記者会見で、WCCとしては、同性間の結婚、女性聖職などの問題を正面から取り上げることは難しい、と語った。
同性間の結婚、女性聖職に関するロシアのジャーナリストの質問に、トゥヴェイト総幹事は、WCC内部に様々な意見があり、合意に達するまでは特定の立場を表明出来ない、と答えた。
「WCCは350教派・教会が加盟しており、合意成立に向けて活動している。議論されて来なかった、また合意に達するところまで議論していない問題については、WCCとしての意見は持たない。質問されたどちらの問題についても意見を持っていない」と語った。
WCCは対話を奨励し、諸教会が様々な意見を持っている問題を討議する場を設ける役割がある、として、「これらの問題のどちらについても、WCCが近い将来に統一見解に達するとは思えない」と語った。
同総幹事は、ロシア正教会がホストを務めたWCCの『一致の協働常置委員会』の開会に際してモスクワを訪問したもの。同委員会は、WCCの諸活動に対する正教会の参画について討議した。
トゥヴェイト氏自身、この1月に総幹事に就任以来、正教会の参画を重視する姿勢を示して来た。WCCには349教派・教会が加盟しており、その中でロシア正教会は最大規模。
2009年に、キリル総主教の後任として、ロシア正教会対外教会部門の責任者となったヒラリオン府主教は、同性愛や女性の役割などの問題でプロテスタント諸教会が自由化傾向を強めていることから、WCC内部で正教会とプロテスタント加盟教会の多くとの関係が危機に直面している、と発言している。
ただ今回のトゥヴェイト氏の訪問は、ロシア正教会からは好意的に受け止められた。28日の会見の際、キリル総主教は、キリスト教をこの世界で守り、他の文明との対話でWCCの果たす可能性に言及した。