英銀大手バークレイズのジョン・バーリー最高経営責任者(CEO)が3日夜、ロンドンの英国国教会で講演し、利益は「邪悪」なものではないとして、キリスト教精神と銀行業は矛盾しないと訴えた。米ブルームバーグ紙電子版が4日報じた。
聖マーティン・イン・ザ・フィールズ教会を会場に開催された講演会で聴衆に語ったもの。講演後のインタビューでは、金融業の収益と社員に支払われる報酬はキリスト教と共存可能とも語った。
これらの発言は、英国国教会の霊的最高指導者であるローワン・ウィリアムズ・カンタベリー大主教が9月、世界的な金融危機を招いた投資家らの間で依然として「悔い改め」が見られないとし、現在の高額なボーナス文化に対して怒りを感じると語ったことを意識したものと見られる。バリー氏は昨年だけで110万英ポンド(約1億6500万円)のボーナスを受け取っている。
ロンドンでは先月20日もゴールドマン・サックス・インターナショナルの顧問、ブライアン・グリフィス氏が英国国教会・聖パウロ大聖堂で講演した。銀行システムが富と格差の象徴として批判されていることについて、「国家に大きな繁栄をもたらし、すべての人に機会を与えるためには格差を受け入れるべきだ」「自分を愛するのと同じように他者を愛しなさいというイエスの教えは、自己の利益を肯定している」などと語っている。
米ニューヨーク・タイムズ紙によると、米ゴールドマン・サックスは昨年、従業員953人ひとりにつき最低百万ドル(約9千万円)、役員にはさらに5百万ドル(約4億5千万円)のボーナスを支給した。今年の支給準備額は昨年比3倍以上になるという。
カンタベリー大主教は、世界的な金融危機が深刻化していた昨年秋には、「利益の裏づけがない空証文の取引が大被害をもたらした」と、金融取引のあり方に対して不信を表明。金融界の仮想現実の拡大を「偶像礼拝に相当する」と酷評し、全面規制は必要ないとしながらも、金融市場の適切な規制と公共の利益を確保する必要性を強調していた。
米エール大学経済学部のロバート・シラー教授は、過剰な経済格差は国家にとって害となり、富裕層さえ住めない環境を生み出すとして、経済格差に連動した税制を提案している。