埼玉県狭山市で1963年に当時16歳だった女子高校生が殺害された「狭山事件」で、無期懲役が確定したものの、冤罪(えんざい)だとして仮釈放後も再審を求めていた石川一雄(いしかわ・かずお)さんが11日、同市内の病院で誤嚥(ごえん)性肺炎のため死去した。86歳だった。石川さんは昨年末から体調を崩し、療養中だった。複数の国内メディアが12日、伝えた。
当時24歳だった石川さんは強盗殺人容疑などで逮捕され、1審で死刑判決を受ける。2審では、部落差別に基づく見込み捜査で、取調官にだまされて容疑を認めてしまったとし、無罪を主張。しかし、判決は無期懲役となり、77年に最高裁で確定した。
服役中から再審請求を行い、94年に仮釈放された後も再審を求め続けた。これまでに2回退けられ、現在は2006年に東京高裁に申し立てた第3次再審請求中だった。
狭山事件を巡っては、日本のキリスト教界の中にも、再審を求める石川さんを支援する動きがあった。昨年9月には、日本キリスト教協議会(NCC)の大嶋果織総幹事、日本基督教団部落解放センターの鈴木祈運営委員長、日本カトリック部落差別人権委員会の中村倫明委員長、部落問題に取り組むキリスト教連帯会議の奥村貴充議長が呼びかけ、東京高検や東京高裁に対する要請行動を行うなどしていた。