日本カトリック正義と平和協議会の「死刑廃止を求める部会」(部会長・竹内修一司祭)は、世界人権デーの10日、死刑廃止を求める声明を発表した。
声明は鈴木馨祐(けいすけ)法相に宛てたもので、あらゆる人の命と人権を守るため、まずは死刑の執行を停止し、その上で、死刑廃止国際条約の批准に向けた具体的な取り組みを直ちに開始するよう求めている。
今年10月に再審で無罪が確定した元死刑囚でカトリック信者の袴田巌さんにも言及し、死刑は「その執行(処刑)によって『生存権』という最も根源的な人権を不可逆的に奪います」と強調。その存在自体によっても人権を毀損するとし、死刑制度そのものの早急な見直しを訴えている。
この他、ローマ教皇フランシスコが最近、大勅書『希望は欺かない』で、死刑について「ゆるしと更生の希望をすべて無にする、キリスト教信仰に反する措置」と批判していることも紹介している。
同部会は10月10日の世界死刑廃止デーにも、同様の声明を発表している。また、世界人権宣言75周年の節目だった昨年は、協議会として死刑廃止を求める声明を発表し、「世界中から死刑を廃止するために働くことは、カトリック教会の使命」と訴えていた。