米ペンシルベニア州の歴史ある黒人教会で、18世紀後半の創立以来、初となる女性牧師が誕生した。
230年の歴史で初めて女性が牧師に任命されたのは、同州フィラデルフィアのマザー・ベテルAME教会。同教会は、米国の黒人教会の代表的な教団として知られる「アフリカン・メソジスト監督(AME)教会」の創立者リチャード・アレン(1760~1831)が、最初のAME教会として1794年に創立した。
発表(英語)によると、9日に開催されたAME教会の第1監督区計画会議で、ベテルAME教会(同州アードモア)のサミュエル・グリーン監督によって、キャロライン・キャバネス牧師がマザー・ベテルAME教会の第53代牧師に任命された。
キャバネス牧師は、ニューヨークのコロンビア大学バーナード・カレッジ卒業後、ユニオン神学校で学び修士号(牧会学)を取得している。
牧会活動だけでなく、超教派の慈善活動に取り組んだ経験もある。また、2016年の米大統領選では、ヒラリー・クリントン元国務長官の選挙運動で副財務ディレクターを務めた。
就任後初の日曜日となった10日、キャバネス牧師は礼拝(英語)で、「とても光栄なことで、謙虚な気持ちです」「神の慈しみ深さと忠実さに圧倒されています」と語った。
「私は新しい人々の前に、新しい牧師として立っています。しかし、昨日まで私たちを守り、今現在も守っておられる同じ神が、これからの日々においても私たちを守ってくださるのです」
キャバネス牧師は、自身がAME教会の4代目の説教者だとし、曽祖父、祖母、父がそれぞれAME教会で奉仕してきたことを話した。また、1819年にAME教会で女性として初めて説教することを許されたジャレナ・リー(1783~1864)ら、過去の女性説教者たちが積み上げてきた土台の上に今の自分があることを語った。
マザー・ベテルAME教会の現在の会堂は1890年に建てられたもので、アフリカ系米国人が継続的に所有する米国最古の教会財産とされ、1972年に国定歴史建造物に指定されている。